水不足が生んだ新しい節水農業

世界の水消費の70%は食料生産に使われている。農業の節水化は、これから大きな需要が見込める市場だ。イスラエルで生まれ世界に広がる点滴灌漑農法から、事業化のヒントを探る。

水を減らしつつ植物生育を高める点滴灌漑は、世界中で市場が拡大している

砂漠国、食料自給率95%

イスラエルは国土の50%以上が砂漠であり、降雨量は多い地域でも年間600-800mmと、極めて厳しい水環境に置かれている。それにもかかわらず、食料自給率は約95%と非常に高い。その理由は、イスラエルで生まれた節水農法・点滴灌漑にある。

プラスチック製パイプに水と液体肥料を通して、要所ごとに空いた穴から点滴することで、水量の効率を最大限に高めるこの農法は、1965年にシムハ・ブラス博士により開発された。

「ブラス博士は砂漠地帯にあるハッツェリムという街で、街路樹が一本だけ大きく育っていることに気づきました。よく調べてみると、その木の下を通る水道管から水が漏れていました。『ゆっくりと植物に水を与えれば、水が無駄にならず植物が良く育つのではないか』。この気づきが、点滴灌漑発明の原点です。その後、ハッツェリムのキブツ(農業共同体)が博士の協力を得てネタフィム社を設立、点滴灌漑を事業化しました」と、ネタフィムジャパンのジブ・クレメール社長は話す。

ネタフィムの点滴灌漑は、またたく間にイスラエル全土に普及した。1948年の建国当時、イスラエルの農地面積は20万haだったが、2012年には55万haと3.5倍に拡大。今や国内灌水面積の70%が点滴灌漑だ。またこの間、農業生産額は16倍の70億ドルに成長した。

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