得意先の一言がプロデュースの基

何気ない一言を実現することが、これまでにない企画を生み出すことがあり、営業としての小さな気配りが、得意先と強固な関係を築くきっかけとなる。花王の元会長・佐川幸三郎氏の一言から始まった「朝の詩」は15年続く超長寿番組となった。

花王のタイ工場にて(左から2番目が佐川幸三郎氏、一番右が筆者)

花王のトップにマーケティング実践を学ぶ

足掛け9年間担当した得意先「花王」さんには数々の思い出があるが今回はただ一人の人物に焦点を合わせて書いてみたい。

今、手元に一冊の本がある。タイトルは「偲」、脇にサブタイトルで「佐川幸三郎追悼録」とある。実は、私はこの方から本当にたくさんのことを学んだ。

佐川さんと言うのは花王株式会社で代表取締役会長まで累進されたビッグであるが、私の知る限りおおよそ、その様な肩書きと違和感のある、言わば庶民的なお人柄であった。この追悼録にはたくさんの方々が寄稿されているが私もその中の一人。

頁を繰って見ると私のタイトルが見える。「忘れ得ぬ人」。文中、忘れ得ぬ理由が二つ書いてある。一つは発想が異質だったこと。今一つはお人柄について触れていて「(僭越ながら)真に愛すべきお人柄であった。剛直であるが、ロマンチストであり、シャイで負けず嫌いで、そして優しかった」とある。今、思い出してもその通りの方で誠に魅力的であった。私とは随分年齢差もあったが「神保ちゃん、神保ちゃん」と可愛がって頂いた。

佐川さんは京都帝大を出られた科学者であるが、花王の前身である「日本有機株式会社」に入社され、その後海軍の予備学生となり、更に進んで軍令部の参謀となった。軍令部の参謀と言うのは、職業軍人の中でもエリート中のエリートで、民間出身でこの組織に属する人は極めて稀であろう。思うに余程優秀であったに相違ない。

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