全世界にマーケットを広げるオンライン旅行会社の戦略

あらゆる業種でオンライン化が急速に進む中、いち早くオンライン販売を始めたエクスペディアは、現在世界最大の旅行会社になった。新規事業の立上げには10年先の市場動向を読む先見性が求められる。

旅行市場のオンライン急成長

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木村 奈津子(きむら・なつこ)氏
AAE Japan エクスペディア マーケティング ディレクター 東アジア
ソニー、Amazonを経て、エクスペディアの日本法人立上げに携わり、現職。

新聞や雑誌、洋服、音楽、自動車さらに医薬品までオンラインで購入できる時代になった。経済産業省の調査によると、2012年度における日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、9.5兆円(前年比112.5%)まで拡大している。2012年は、ほとんどの業種で前年に比べて市場規模が増加し、特に小売業のうち、衣料・アクセサリー小売業においては対前年比で20パーセント以上と高い伸びを示した。

旅行市場も例外なく、オンライン化が進む。上記調査では「宿泊・旅行、飲食業」が前年比17.8% 増の1兆4960億円と好調な伸びだ。特にオンライン化が進んでいるのは航空会社で、LCC(格安航空会社)の登場がインターネット販売をさらに加速させている。

オンライン旅行サイトを先駆けて開始した会社がエクスペディアだ。インターネットが普及し始めた1996年頃に、アメリカのマイクロソフトがオンライン旅行部門として立ち上げ、後にスピンアウトした会社である。現在は30ヵ国以上に販売拠点を持ち、航空券、ホテル、パッケージ旅行など80を超えるサイトを運営する。ホテルは全世界一括仕入れを行い、他の旅行サイトよりも高かった場合は差額と5千円相当のクーポンを提供する「最低価格保証」をグローバルで展開。グローバルでの売り上げは日本円にして年間3兆円を超え、昨年においては世界最大の旅行会社というポジションを築いている。

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