POPで1店舗7000冊
有隣堂の名物書店員・梅原潤一氏は、独自のPOP術で本を売る。 自身の思いを掘り下げ、顧客に響く言葉を導き出し、POPで表現。 そのノウハウは、本に限らず、販売のあり方を考えるうえで示唆に富む。
秋葉原のヨドバシカメラ・マルチメディア館7階にある書店、有隣堂の文庫売り場、ハードカバー小説の売り場は、キャッチコピーを書き文字で記した、たくさんのPOPで賑やかだ。書店業界で有名なPOPの名人、梅原潤一氏は2013年9月からこのヨドバシAKIBA店に勤務している。
いまや書店員が作成するPOPは、本の販売に大きな影響を与える。書店員が作成したPOPで火がつき、瞬く間に全国的なベストセラーが生まれることもあるほどだ。
梅原氏も出版社から事前に情報を得て、新刊を店頭に並べるときにはPOPをつくる。作成するPOPは平均して月4~5点。出版社サイドからは、梅原氏ら有力な書店員には発売前にゲラ(印刷・製本前の内容見本)が送られてくるという。
装丁・帯では伝わらない魅力
昔つくったPOPを再度利用することもある。たとえば、現在、ヨドバシAKIBA店の文庫売り場に平積みされている荻原浩著『神様からひと言』(光文社文庫)には、"読んでる途中で思わず「面白~い!」と声が出ます!"というPOPが立てられている。続けて"本当です! 私は258ページでつぶやきました"というフレーズがあり、思わず、258ページを開いてみたくなる。
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