2013年8月号

ザ・ライバルズ

イオン vs セブン&アイHD

津田和徳(大和証券 企業調査部 チーフアナリスト)

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日本の小売業界を牽引してきたイオンとセブン&アイ・ホールディングス。両社はともに国際化を加速させるなど、さらなる成長に向けた戦略を展開している。両社の現状を示すとともに、それぞれの強みを明らかにする。

イオンはアジア、セブン&アイは米国に活路

イオンとセブン&アイ・ホールディングスは、ともにGMS(総合スーパー)から大きく発展し、現在はサービス業を含めた流通コングロマリットに成長しています。しかし、両社の事業内容は大きく異なります。

イオンは90年代半ばからショッピングセンターの展開に力を注ぎ、それに関連するGMS、不動産、カードなどの金融事業で利益をあげています。一方のセブン&アイは、コンビニを中心とした企業集団です。グループで営業利益が一番大きいのはセブン-イレブン・ジャパンで、次に米国のセブン-イレブン・インクです。イトーヨーカ堂の営業利益はグループで6番目に低下しています。

イトーヨーカ堂は駅前、市街地の中心部に立地する旧来の箱型店舗が中心です。郊外における専門店の台頭やショッピングセンターの隆盛など、時代の変化に上手く乗れませんでした。現在、収益力を高めるために構造改革に取り組んでいます。商品や売場の見直し、接客サービスの強化、人件費などの固定費削減、店舗の入れ替えなどです。しかし、セブン&アイ全体でみれば、イトーヨーカ堂のマイナス面よりも、コンビニの成功が大きくプラス面に働いています。

セブン-イレブンは「近くて便利」を追求する小商圏のビジネスで、イオンは大型店で広域をカバーするビジネスです。大型店の開発は、自治体との関係構築なども重要になるので、今から始めようとしても難しいと考えられるため、イオンの強みです。一方のセブン&アイは、国内でコンビニの店舗数が1万5000店を突破し、出店を加速しています。商品力、専用工場、店舗開発力などでアドバンテージを持っています。

各社ともPB(プライベートブランド)商品の開発に力を注いでいます。セブン&アイのPBはコンビニ中心の展開で、スーパーなどに比べ価格を意識する必要性が薄く、メーカーが協力しやすい面があります。PBは他社との差別化に有効であり、NB(ナショナルブランド)の仕入れ条件改善にも寄与します。しかし、NB商品とは違い、売れ残りが増えると、ロスが膨らむため、万能薬ではありません。

今後、成長のカギを握るのは、イオンが国内と中国を含むアジアでのショッピングセンターの展開、セブン&アイが国内とアメリカでのコンビニの拡大です。両社とも、自社の強みを国内、海外で発揮させ、そこで利益を最大化することを目指しています。

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