「アジアヘッドクォーター特区」構想で国際競争に勝つ

国の規制緩和や法的な優遇策を活用し、欧米のグローバル企業のアジア統括拠点・研究開発拠点を東京に誘致しようという「アジアヘッドクォーター特区」構想が、動き始めた。もともと東京が持つ強みと税率の低減など優遇策を活かし、国際競争力を高める。

東京都の「アジアヘッドクォーター特区」構想が少しずつ動き出している。

この構想は、国の規制緩和や法的な優遇策を活用し、欧米のグローバル企業のアジア統括拠点・研究開発拠点を東京に誘致。誘致した外国企業と国内企業――特に高い技術力をもつ東京の中小企業やベンチャー企業が刺激し合い、新技術・新サービスを創造する魅力的な市場を形成することを目指す。いわば東京をアジアのヘッドクォーターに進化させ、長期間停滞する日本経済の再生を牽引するためのプロジェクトだ。

特区に選ばれたのは、東京都心・臨海地域、新宿駅周辺地域、渋谷駅周辺地域、品川駅・田町駅周辺地域、羽田空港跡地の5つのエリア。誘致する外国企業の対象業種は情報通信、医療・化学、電子・精密機械、金融・証券、コンテンツ・クリエイティブなど、東京の成長を促す業種だ。都では2016年までにアジア地域の戦略拠点を50社、その他の外国企業を500社誘致することを目標としている。

ちなみに国際戦略総合特区として「アジアヘッドクォーター特区」に選ばれた地域は、一部を除き「特定都市再生緊急整備地域」の指定エリアと同一である。「国際戦略総合特区」に指定されたエリアでは、国から規制緩和や税制・財政・金融上の支援などソフト系の特典が得られる。また、「特定都市再生緊急整備地域」では、新たな事業計画に対し、許認可権のある自治体がスピーディに検討することが可能となるなどハード系の特典が得られる。つまりこの特区では、ソフト、ハード両面から特典を活用することができるわけだ。

低下する日本の国際競争力

海外の都市整備や地域開発に数多く参画し、都市政策、都市地域計画を専攻する明治大学専門職大学院長の市川宏雄氏は東京都のこの特区構想に対し「一歩前進」と評価する。「アジアにおける日本の存在感が相対的に希薄化する中で、東京はシンガポール、上海、北京、香港、ソウルなどとの都市間競争に勝ち抜き、アジア地域でのイニシャチブを握らなければならない」と危機感を強める中、「ようやく、その具体的な戦略がでてきた」からだ。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り72%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。