競争から多様性へ。アイドル市場全体の成長をプロデュースする。

日本最大のアイドルフェスイベントTokyo Idol Festival、人気アイドルグループ「アイドリング!!!」、大ヒットバラエティ番組「人志松本のすべらない話」(バラエティ制作センター所属時)など、ライブビジネス、アイドルプロデュース、テレビコンテンツという、幅広い分野で成功を収めるヒットメーカー、フジテレビの門澤清太氏へのインタビューから、その成功の要因と、今後のアイドルビジネスの展望を考えたい。

真夏のお台場に2万人以上のアイドルファンが集まり、総勢111組700人以上のアイドルが集い、まる2日間、昼夜通して行われた日本最大のアイドルの祭典、Tokyo Idol Festival 2012(以下TIF)。2010年の開始当初5000人だった集客数は2年間で4倍に伸び、集まるファンだけでなく、出演するアイドルたちからも、また来たいイベントとして、毎年非常に満足度が高い。

「TIF運営の合言葉は『みんなハッピーになろう』です。毎回、全員がニヤッとして帰れるようにしましょうと言っています。」100を超えるアイドルの事務所、2万を超えるお客、そして運営スタッフたちにトラブルなくイベントを成功させるということはもちろん、その言葉の奥には、アイドル市場全体を成長させ、文化として根付かせるという門澤氏の大きな狙いが詰まっているように感じられた。

競争ではなく、市場自体を成長させる「多様性」という思想

フジテレビ
総合メディア開発メディア推進局
門澤清太氏

「一点主義は絶対に廃れていきます。ご飯と一緒で人は単一のものには必ず飽きてしまうんです、その味が濃かったらなおさら。アイドルも同じです。多様性が大切なんです。選択肢が少ないと、それを嫌いになってしまったらアイドルとは違うものを探すしかなくなってしまう。そしてやがて、女の子を応援すること自体がかっこ悪いとされてしまった時期もありました。そうやってアイドル自体が廃れていってしまうのが一番怖いですよね。」

アイドル戦国時代と呼ばれるほど競争の激しいアイドル業界だが、個々のグループが競争で勝つことよりも、多様性を重視し、市場全体を盛り上げていくという思想こそ、TIFの成功の要因であり、アイドル市場が今後も成長するための鍵なのかもしれない。

「誰でも入ってこれて、それぞれの切り口で楽しめる場所にしたかった。お台場という場所で、ライブハウスではなく外で大掛かりにやる。イベントに来た人だけでなく、たまたま通りがかった人にも、やっぱり今、アイドルっておもしろい、いっぱいいて、いろんな楽しみ方があるということを、世の中に知ってもらいたいんです。」と語るように、TIFには多様なアイドルの楽しみ方を、より多くの人に提案する工夫がたくさん詰まっている。

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