トランプで自助・共助を楽しく促す
通常のトランプルールをそのままに防災について楽しく話し合える「防災トランプ」。世代をこえて楽しく学べるユニークなトランプとして全国で導入が進んでいる。開発者の福本塁氏にその特長やねらいを聞いた。
防災訓練やセミナーの課題
現状、地域において実施されている防災訓練やセミナーの多くは、一般に地域や自宅で日頃から準備すべきことを「講師」が話し、「参加者」はその内容から防災の知識を深め、防災意識を向上させる構図となっている。
しかし、参加者が個々に持つ状況を踏まえていない内容であれば、参加者にとっては他人事で終わってしまうケースも多い。
さらに、地域には子ども・高齢者・障がいを持つ方等、スペシャルニーズを持つ人々がいるが、災害時にどのような支援が必要となるのかについて、住民が知る機会はほとんどない。
地域における防災まちづくりを促していくには、防災訓練やセミナーにおいて、参加者が防災を自分事として捉え、自律的・積極的な行動を促し、地域の様々な人々を交流させることが大きな課題となっている。

防災トランプ 写真提供/ウイングベース
トランプで世代を超えて防災を楽しく考え話し合う場づくり
自律的・積極的な参加を促すための有効なアプローチとして「楽しい場」をつくることが挙げられる。
「防災トランプ」の開発者である、福本塁氏は、世代を超えて防災を楽しく話し合う場づくりに取り組んでいる。福本氏がつくる場では、トランプの順番に沿って「参加者」が自らの防災にまつわる体験談や考えを積極的に話す。自分の番は話す番、相手の番は話を聞く番。トランプを楽しみながら、話し手と聞き手が交互に入れ替わり、互いの考えがシェアされ、参加者同士が交流されることで防災意識が高められる。
「既存の防災訓練、セミナーの内容や一般に入手可能な防災情報は有益な情報を多く含む一方で、一住民の立場から自分事に捉えにくい一面があります。」と福本氏は語る。続けて、「自らの生活を振り返り自然災害に関わらず身の回りの危険について体験談を他者に話すことで、『怪我をしたくない、嫌な思いをしたくない』等の価値観が再形成され、改めて防災を学ぶ受け皿をつくり、自律的・積極的な参加を引き出すことができると思います。」と冒頭の課題に対する解決方針を示した。この方針を具現化したものが防災トランプというわけだ。
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