ここまで来た!東京都地下空間浸水の防止対策を更にレベルアップ
昭和40年代から取り組まれている都市型水害の防災対策をレベルアップ。同時に被害を軽減する浸水予想区域マップの作成や、地下街の被災に備え大規模地下街に「浸水対策計画」の策定の後押しに取り組む。
護岸整備と調節池を組み合わせた防災対策
近年、局地的大雨や集中豪雨などを誘因とする都市型水害が増加している。
東京都に限っても、2005年9月4日に23区西部を中心に、1時間最大で112ミリという記録的な集中豪雨に襲われ、神田川および支流の妙正寺川、善福寺川など8河川から溢水。都内全体で5827棟の浸水被害が発生した。
08年8月28日には、町田市図師で1時間に115ミリ、八王子恩方では86ミリの猛烈な雨を記録し、境川など2河川が溢水し、302棟の浸水被害が発生した。
さらに10年7月5日には、石神井川流域のほぼ全域で、1時間50ミリを超える降雨を記録。都内全体の浸水被害は810棟に上った。また13年7月23日には、目黒区をはじめ世田谷・大田・品川区など城南地区で、1時間50ミリを超える降雨により、都内全体で500棟に浸水被害が発生した。
東京都建設局河川部計画課中小河川計画担当課長の内野祐彰氏は、都市型水害の増加について「高度経済成長期以降、農地や森林が失われて市街地化が急速に進み、雨水が地中に浸透せずに一気に河へ流れ込むようになりました。加えて、地球温暖化が原因ともいわれる、強度が時間100ミリにも及ぶ局所的な集中豪雨、雷雨が発生する頻度が高くなり、中小河川で都市型水害が顕著に起きるようになりました」と説明する。
こうした都市型水害を防止するための対策の中核となるのが、河川の護岸整備だ。都では、都内に戦後最大の水害をもたらした、狩野川台風(1958年)を契機に、昭和40年代から隅田川以西の中小河川のうち46河川324㎞を対象に、時間50ミリの降雨に対応した護岸整備を行ってきた。
その結果「護岸整備率は66%(平成26年末)、調節池などを加えた治水安全度達成率が約77%となっています。50ミリの降雨に対応する河道拡幅が困難な場合には、早期に調整池を整備し、護岸整備と組み合わせ、水害からの安全性を担保してきました」(内野氏)
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