理想の水害対策を「簡易型」で実現 工事不要の新製品も

「南海トラフ地震」や集中豪雨の危機に対し、防災対策の見直しや改革に取り組んでいるフジ。文化シヤッターの簡易型止水アイテムの活用で新店舗の課題を解決し、 新たな水害対策に取り組んでいる。

フジ八幡浜店食品館での止めピタ設置の様子

愛媛県松山市を拠点に、中四国エリアでスーパーマーケットやショッピングセンターを97店舗(H28.3現在)展開しているフジ。創業50周年を来年に控え、地域との共生により力を入れ、地域のセーフティエリアとなるべく「災害への備え」を重点課題として掲げている。

事業エリアにおいては、ここ数年で南海トラフ地震への警戒が高まり、地震による直接的被害に加え、津波による被害がいつ起きてもおかしくない状況におかれている。過去には集中豪雨によって、徳島県のフジグラン石井で浸水被害も経験している。

浸水による被害は、ライフラインでもある食料品や日用品などに甚大な影響を及ぼし、地域の暮らしを揺るがす深刻な事態に発展し得る。「有事の際には冷静で的確な対応を行い、率先して生活物資を地域に提供し暮らしの基盤を支えるなど、減災と早期の普及に努めることが、小売業の果たすインフラとしての役割だと思うのです」そう語るのは、フジ店舗開発部の辻正道氏。東日本大震災における小売各社の迅速な対応を目の当たりにし、自社のあり方に改めて気づかされたという。地域を守るためには、まずは自らが盤石な防災体制を整えておかなければならない。

辻 正道 フジ 店舗開発部 シニアエキスパート

理想の止水設備を求めて

そのような背景で、フジでは、2012年度に緊急初動体制マニュアルを見直し、BCPを策定、教育にも力を入れてきた。これまで年2回実施していた火災訓練を4回に増やすとともに、そのうち1回を地震の負傷者を想定した総合防災訓練としている。パート、アルバイトも含めた従業員が参加し、問題点がないか内容を見直しながら訓練を重ねている。また、店長及びマネージャーなど各店1名以上が防災士の資格を取得し、防災意識の向上につなげている。しかし、防災意識やマニュアルなどソフト面が向上していく一方で、特に大きな影響が想定される水害を防ぐハード面では、止水設備に不安が残る状態が続いていた。

大型店舗ともなると、止水すべき入り口は10ヶ所を越える。何十年かに一度想定される災害に対し、土のうを使った対策では保管場所にも人員的にも限界がある。フジグラン石井に導入したアルミ製の止水板についても、設置時の重さやコスト面などで課題を残すものとなっていた。そんな中、フジ八幡浜店のリニューアルに際し、その機能と利便性に納得し採用したのが、文化シヤッターの簡易型止水シート『止めピタ』だった。

フジ八幡浜店の近くには川が流れており、高潮と豪雨の影響で付近が浸水したこともある

「簡易型」が果たす大きな役割

従来の重厚な素材を使った止水製品に比べ、樹脂製シートを採用した『止めピタ』は、吸盤もしくはマグネットでフロントやシャッターに貼り付けたシートを、床置きウェイトで固定して浸水を抑えるシンプルな構造。軽量で簡易な構造に反し、その性能は土のうの約10倍の止水効果を発揮する。

フジ八幡浜店は、河川や海岸に近く、川の増水や高潮の水害リスクが高い地域に立地するため、止水対策は不可欠だったが、小型店ゆえの制限もあった。その問題をクリアしたのが『止めピタ』の簡易性。「懸念していた『保管場所』、『設置人員』、『コスト』をクリアできたことがよかった」と、フジの辻氏は採用に至った決め手を振りかえる。

実際、『止めピタ』は収納がコンパクトで簡単に持ち運ぶことができ、設置も5~10分程度とスピーディー。「アルミ製の止水板に比べ、半分程度のコストですみ、何より女性一人でも簡単に設置できることが理想的でした」と『止めピタ』の導入メリットをあげている。フジ八幡浜店では、限られたスペース、女性比率の高い人員体制、低コストといった条件があり、重厚で完璧な止水設備よりも誰でも簡単に設置でき、事業継続に支障が出ない程度に浸水を抑えてくれる、まさに「簡易型」の止水設備が求められていたのだ。

止めピタの保管時の様子。コンパクトに保管しておくことが可能

止水の砦にさらなる期待を

フジ八幡浜店は、リニューアルに際し、津波や河川の増水を見越してバリアフリーが確保できる限界まで敷地の高さを上げている。「敷地を最大1m上げ、さらに『止めピタ』で50cm分の浸水が防げれば」と文化シヤッターの画期的な製品に信頼をおき、その役割を託している。また、フジ八幡浜店と同様に河川に近いフジグラン山口にも導入済みで、今後水害リスクのある店舗への導入も検討している。

「想定外が当たり前に起こる時代です。これで完璧という状態はないので、新しい防災設備の情報を、どんどんキャッチしていかなくてはなりません」と、さまざまなニーズに合わせて新製品を開発している文化シヤッターの動向にも大きな期待を寄せている。進化を続ける文化シヤッターの止水設備と、フジが年々築き上げてきた防災意識の強靭なタッグで、まさかの水害に対する危機感を、今後も緩めることはないようだ。

止めピタの内容物。複雑な作業は必要なく、設置は非常に簡単

BX止水板『ラクセット』

『止めピタ』に続き、新たなニーズに応えて開発されたBX止水板『ラクセット』が、各方面から注目されている。特筆すべきは、工事不要で設置ができること。開口部に金具で固定するだけで、様々な開口部に設置可能なのだ。厚さ約25mmのアルミ製の止水板が水の圧力をしっかり受け止め、設置後もその開口部から出入りできるのが新たな特長。出入口が1箇所しかない建物や、非常時も閉めることができない店舗などの止水設備として活用できる。2分程度で設置できるので、急な大雨でもすぐに対応が可能。新設、既設を問わず工事コストを抑える事ができ、手元に届いたその日から使用できる。(※設置場所の状態によっては事前工事が必要)

BX止水板「ラクセット」設置の様子

 

お問い合わせ

  1. 文化シヤッター株式会社 お客様相談室
  2. TEL:03-5844-7111
  3. URL:http://www.bunka-s.co.jp/

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