防災ガイド2016年度版

災害発生時の対応及びその備え

杉並区が電気火災の予防に動く 「電気火災」に強い街づくり

株式会社リンテック21

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震災による火災を大きな不安とする杉並区。その防災のテーマは「火に強い街づくり」だ。その強化のひとつとして、この春から実施されたのが簡易タイプの感震ブレーカーの設置を支援する事業だ。いったい、どのような狙いで感震ブレーカーを採用したのか。また杉並区ならではの特徴はどのようなものだろうか。

感震ブレーカーの設置業者説明会を実施
写真提供:杉並区小規模建設事業団体連絡会

「首都直下型地震は必ず発生すると言われています。それに対して杉並区は木密地域が多く、万一の震災での死傷者の大多数が、火災によるものと予測されています。そのため、杉並区は火に強い町作りを目指しています」と杉並区危機管理室防災課長の武田護氏は説明する。

東京23区でも内陸部にあり、入り組んだ細い路地に小さな戸建て住宅が密集する杉並区。そこで最も怖いのが地震後に発生する火災だ。杉並区ではこれまで消火栓につなげるスタンドパイプや消火器類など、初期消火のアイテム普及を進めてきた。そして、「火災が起きたら」というアクションではなく、「火災を起こさないため」という、さらに踏み込んだ対策を考えるようになったという。

「火を出さないためには、どうしたらよいのか?を考えたときに、電気火災予防のためにも感震ブレーカーがいいだろうとなりました」と武田氏。

武田 護 杉並区役所 危機管理室 防災課長

感震ブレーカーを無償で提供

感震ブレーカーとは、震度5強以上の揺れを感知すると自動的にブレーカーを落として、電気を止める装置のこと。内閣府でも普及を進める防災アイテムである。

そこで杉並区は、簡易タイプの感震ブレーカーの設置を支援する事業を2016年4月よりスタートさせた。リンテック21の簡易タイプの感震ブレーカーを、希望した3000世帯へ無償で提供する。対象は東京都が計画した「防災都市づくり推進計画」整備地域を基本とした杉並区内の特定地域約54000世帯。いわゆる火災が不安視されるエリアだ。また、設置は杉並区と契約を結んだ小規模建設事業団体による作業が必須となっている。杉並区との話し合いで、出張・取り付け費用を2000円とした。つまり、設置希望者は2000円の実費だけで、簡易型感震ブレーカーを手に入れることができるのだ。

「設置までを考えたのは、確実に取り付けてほしいからです。また、3000という数字は54000世帯の5~6%をイメージしたもの。本当は54000世帯すべてに普及してほしいと考えていますが、まずは3000からということです」と武田氏。特定地域以外の住民には、あっせん価格での提供もおこなっている。

製品提供だけではなく設置支援も実施

ちなみに小規模建設事業団体に所属するのは、リフォームなどの家庭内の工事を行う業者だ。各家庭まで出張しての取り付けで2000円は格安だが、それでも業者側にメリットはある。各家庭では、簡単なリフォームや修繕などのニーズはそれなりにあるが、実際に作業を行える業者は知らないもの。業者側としては、今回の件で自社をアピールできれば、以降の受注が期待できる。2000円は安いが宣伝活用と考えればいいというわけだ。実のところ前年に区内に数百の火災報知器を設置する事業に関しても同様な手法を採用した実績がある。それが小規模建設事業団体と協力関係を築けた大きな理由になっているという。

実際のところ配布するリンテック21の簡易タイプの感震ブレーカーは、業者ではなく、ユーザーが個人で取り付けることも可能だ。とはいえ、それなりの手間がかかるもの。そのため入手後におっくうになって取り付けされないことも想定できる。最悪、転売される可能性も。そうした事態をさけて、しっかりと設置までを見据え、また、あらゆる設置環境への対応に前向きに取組んでいるリンテック21の製品を選択したところに、杉並区の感震ブレーカー普及への熱心さが伺える。

ちなみに感震ブレーカーには既存のブレーカーに取り付ける簡易タイプだけでなく、分電盤タイプやコンセントタイプが存在する。

「簡易タイプを採用したのは、費用対効果が理由です。ひとつが安いので、同じ予算で1件でも多くに使ってもらえるという考えからです。またリンテック21を選んだのは、内閣府のガイドラインにある性能表示で、二つ星の評価をもらっていたからです。誤動作も少ないと聞いていましたから、迷わず選びました」と武田氏。

住民の防災意識の向上を狙う

また感震ブレーカーを普及させるには、直接的な防災効果だけでなく間接的な効果も期待できるという。「防災意識の向上には寄与できると考えています。自分の家から火を出さない。そうした意識を醸成するために、感震ブレーカーが役立つと考えています」と武田氏。

4月に応募を始めてから、約1か月での申し込みが済んだのは350件強。さらに、数百件規模の集合住宅からの相談も進行中だという。やはり賃貸住宅に住んでいる人よりも、住宅のオーナーの方が防災意識は高いようだ。

「申し込みは少ないというのが正直なところ。また、申し込みといっても、最初に感震ブレーカーはどういうものかという説明から入っています。まだ認知度は低いようなので、これから頑張らなければいけないと考えているところです」と武田氏。

「火に強い街づくりを目指して、できることはすべて行う」という杉並区の強い意志の見えるような事業であった。

 

株式会社リンテック21 への

 

  1. 株式会社リンテック21
    MK営業部

  2. TEL:03-5798-7801
  3. URL:https:‌//www.lintec21.com/
  4. Mail:info_lintec21@lintec21.com
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