対案・代案をルール化する 「否定語批評家症候群」の解決策

事業構想を阻む壁は社外だけでなく実は社内に多々存在する。リスクを過剰に危惧する管理部門、意思決定出来ない役員層、過剰な上下関係のしがらみ等。本稿では「職場の不条理症候群」を紹介し、チェンジ・リーダーとしての解決のヒントを提示したい。

第1回【否定語批評家症候群】

論理的に否定するのが得意な批評家が蔓延する現象。対案・代案のルール化が解決の鍵。

否定語批評家症候群とは、事業構想や新たな挑戦に対して論理的に否定や批判をするのが得意な社内批評家が蔓延し、事業構想家のモチベーションを下げる現象である。

この否定語批評家の特徴は、「否定・批評は得意だが、実は代替案や新たな発想を持ち得ていない」ということだ。

事業構想に対して、「私の経験では出来っこない」、「他の部署と摩擦を起こすからダメだ」といった「否定語」を多発する上司がいる。確かにリスクをヘッジしつつ、ある程度の睨みをきかせる管理は必要だ。しかし、否定語を乱発している部長の下では、事業構想は育たない。

「イノベーションを起こせ」、「自由闊達な意見を」と社内では散々号令をかけながら、実際は「してはならない」、「言語道断」という否定語の乱発という皮肉が多々ある。こうした職場は、「ミスはしてはいけない」、「新規事業もやるだけムダ」、「余計なことせずに目の前の仕事だけこなそう」という縮み志向になり、事業構想どころではない。

そして、「出口は何だ?」と聞いてくる上司が多い。これは答えやゴールが明確な世界で成功してきた人にありがちな質問だが、事業構想では出口以上に大切なのは「入口」である。つまり入口とは、事業の理想像や他とは差異化された切れ味鋭いコンセプトである。幾ら儲かるかの出口に拘りすぎると構想は小さくまとまってしまう。入口を徹底的に先鋭化することが出口につながるのである。

「俺の経験では絶対無理だ」という上司は、過去の延長でしか物事をみれない、単に自分が挑戦してこなかったか、出来なかったことの証である。

さらに問題なのは、否定語批評家上司に追従するミドル層である。彼らは上司に尻尾を振ってさらに批判的な発言を繰り返す。しかもそれが論理的なのでたちが悪い。この追従ミドル層が、「あいつは理論派」だとか「あいつは脇が甘くない」と否定語上司に重用されると悪循環をもたらす。冷静に考えてみれば、幾ら批判的な理論を語っても、事業構想は進化もせず、イノベーションも起こらないのである。

また、「それはいかがなものか?」と言うだけの「いかがなものか症候群」もある。疑問を呈するだけで、新たなアイディアを出さない「いかがなものか?」という言葉は、英語で意訳すれば、「I have no idea」とほぼ一緒である。

「対案・代案ルール」

では、否定語批評家症候群を変えるにはどうしたらよいか?解決のヒントは何か?

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