DXの大波に打ち勝てるか? 文具・オフィス家具メーカー対決!

ペーパーレス化、在宅勤務の広がり、脱ハンコ、2021年のデジタル庁創設など、DXの大波が文具業界に押し寄せている。しかし、文房具でもオフィス家具類でも、創造的開発は止まらない。売上高の上位2社、コクヨとプラスの動向を見る。

ヒット商品を生み続ける、ライバル同士。

オフィスの業務デジタル化やペーパーレス化が進む一方、コロナ禍によってオフィスのあり方さえ見直されるようになった。文具・オフィス家具メーカーには逆風が吹き続けているかに見える。

しかし、この世界では絶えずヒット商品が生みだされてきた。書いた文字が消せるボールペン、常に芯のとがった部分で書けるシャープペンといった筆記具は、使い手の小さなニーズを拾い、きめ細かくフォローする日本流のものづくりの成果で、海外での評価も高い。アイデアと知恵、遊び心にあふれた文具が集う「文具女子博」は、2020年も19,000人が来場するほど盛況だった。来場者が選ぶ「文具女子博アワード賞」で大賞となったのは、マスキングテープをミシンのボビンのような小巻きにできる、コクヨの「Bobbin」だ。これもまた、使い手に小さな幸福感をもたらす、日本的な文具づくりの成果といえる。

そのコクヨは、2019年、文具の新たな方向性を指し示す、新たなヒット商品も世に送っている。鉛筆にセットしてセンサーで動きを検知し、LEDの色の変化で子供のやる気を見える化する「しゅくだいやる気ペン」だ。スマートフォンアプリと連動してアプリ内のキャラクターが成長し、親も進度を把握できる。文具のこうしたIoT化は必然の流れで、今後も革新的なデジタル文具が登場する可能性がありそうだ。

コロナ禍で働く環境が激変するなか、コクヨでは、喫茶店などのサードスペースでパソコン周りにちょっとした仕切りが作れる自立式のバッグ類を提案している。デスク上に仕切りを作る折りたたみ式ブースは、2020年3月には前月比10倍の売上になった。

ヒット商品といえば、1980年代にも、小さなハサミやカッターなどをセットにした、プラスの「チームデミ」が人気を集め、累計650万個を販売する大ヒットとなった。2001年に一度リニューアルされた後、2020年に19年ぶりの刷新を行い、「グッドデザイン賞」も受賞している。基本の文具に加えてSIMカード交換用のピンもセットする小さな進化も見せているが、「持っているだけで楽しくなる」という、初代のコンセプトは不変だ。

プラスでは、オフィスでのコロナ対策として、デスク周りに配置してセミクローズド空間を作れる可動式スクリーン「HUTTE II」や、左右と背面に高めのパネルを配して集中できる空間が手軽に作れるラウンジチェア「S1パネルチェア」などを提案する。「こんなものがあったら」、「ここにこれがあったら」という利用者のマインドをとらえる日本流文具づくりは、オフィス家具でも変わることがない。

デジタルトランスフォーメーションが進み、事業環境がどう変わろうとも、働く人、学ぶ人の心をくすぐる文具や機能的で洗練されたオフィス家具の需要が消えることはない。日本の文具業界からは、これからも変化へ自在に応える傑作が次々と生み出されていくはずだ。

両社概要

コクヨ

設立 1905年
本社 大阪府大阪市
代表 黒田 英邦( 代表取締役社長)
資本金 158億円
従業員数 6, 961名
事業内容 文房具の製造・仕入れ・販売、
オフィス家具の製造・仕入れ・販売、
空間デザイン・コンサルテーションなど
グループ会社 カウネット、コクヨマーケティング、
ウィルクハーン・ジャパン、アクタス 他16 社
海外15社

出典:同社ホームページ/コクヨグループCSR 報告書2020

 

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