阪急阪神HD会長が明かす 地域社会とともに発展する秘訣

阪急阪神ホールディングスは、地域社会との関係を重視した取組を実施している。同社会長の角氏が、事業構想大学院大学にて「サスティナブルな社会の実現に向けて」をテーマに講義。社会課題の解決に向け、新しい事業の構想に取り組む大学院生に、同社のビジネスについて語った。

角 和夫(阪急阪神ホールディングス 代表取締役会長 グループ CEO)

小林一三を祖とする阪急阪神東宝グループは、阪急阪神ホールディングス(以下、阪急阪神HD)と、映画・演劇興行の東宝、流通のエイチ・ツー・オー リテイリングの3つのグループから成っている。2020年3月期は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けたが、2019年3月期の実績で見ると、3グループ合計で売上規模は約2兆円、営業利益は約1800億円となった。阪急阪神HDは、大手私鉄の中で売上は3位だが、営業利益ではトップだ。

「関西全体では近年、人口減少が進んでいますが、阪急阪神沿線の人口は現在も増えており、関西圏の『住んでみたい街アンケート』では、5年連続1位の西宮北口から8位の神戸三宮まで全て阪急阪神沿線です。また、2019年度の『顧客満足度調査』では百貨店業種で阪急百貨店がトップ、近郊鉄道ではこの調査が始まって以来、阪急電鉄が連続1位です」。

阪急阪神HD代表取締役会長で、グループCEOの角和夫氏は言う。「創業者の小林一三の言葉が残っているわけではありませんが、当社ではその想いを受け継ぎ、教育、文化、安全・安心を重視してまちづくりを行ってきました」。

地域社会と共に

近年の特徴的な取組を挙げると、子どもたちの登下校の状況を保護者にメールで伝える、あんしんサービスの「ミマモルメ」がある。さらに、兵庫県伊丹市が市内の道路や公園に設置した「安全・安心見守りカメラ」1200台とミマモルメサービスとを連動させた「まちなかミマモルメ」も提供している。これによって子どもたちの安全だけでなく、認知症で徘徊する高齢者の早期発見など、行政と協力して地域の課題解決に取り組んでいる。

登下校の状況を保護者にメールで伝えるサービス「ミマモルメ」

また、グループで取り組む社会貢献活動「未来のゆめ・まちプロジェクト」にも力を入れている。毎年夏休みに実施している「阪急阪神 ゆめ・まちチャレンジ隊」は、小学生を対象に、電車の運転士・車掌など、阪急阪神ホールディングスグループの様々な職業を体験できるプログラムだ。2010年にスタートし、これまで数々の賞を受賞している。

「沿線を大事にすることは、沿線に住むお年寄りやお母さん、子どもたちを大事にすることです。私たちは以前からこのような活動を行ってきましたが、近年はESG(環境、社会、ガバナンス)経営としても注目されるようになりました」。

「従業員満足度」が大切

国連でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて5年がたち、SDGsを経営の指針に据える企業も増えている。阪急阪神HDでも、今春、サスティナビリティ宣言を策定・公表したが、同社ではステークホルダーの中でも、特に「従業員満足度」の高い会社を目指してきたと言う。

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