300余年の伝統をSDGsの力に 食の価値共創を目指す

創業100年を超える企業は日本全国でわずか2%と言われる中、食のマーケティングカンパニーとして、300年以上の歴史を誇る国分グループ。継続と革新を理念にSDGsへの取り組みを深め、食を通じたさらなる貢献を続ける。

1712年の創業時から
300余年続くSDGsの精神

国分グループの創業は1712(正徳2)年。今年で308年目を迎える老舗企業だ。当初は江戸・日本橋に「大国屋」の屋号で店舗を構え、茨城県・土浦で醸造した醤油を町人に小売りする商売から始まった。以後150年にわたって醤油醸造業を続け、1880(明治13)年、時代の変化に対応するため食品の卸売業に転換。そこから140年を経て、現在の国分グループがある。

「創業から300余年、明治維新、関東大震災、第二次世界大戦など、国分は様々な形で社会情勢の変化や自然災害に直面し、その都度乗り越えてきました」と國分晃社長は振り返る。

國分 晃(国分グループ本社株式会社 代表取締役社長執行役員兼COO)

「近年では気候変動や海洋汚染、貧困や格差拡大など、世界規模の課題も山積していますが、ビジネスの根幹にある食のサステナビリティをはじめ、SDGsに取り組むことは当社にとっては当たり前のことです」

同社は国内外1万社を超えるメーカーから「食の目利き」として仕入れた食品を、小売店や外食店など様々な業態の得意先に届けており、その数は3万5000社に上る。食産業のサプライチェーンをつなぐ中間流通業として、SDGsに果たすべき役割も大きい。

そこで同社では2019年9月、「SDGs戦略策定チーム」を発足。丸1年間の検討を経て、2020年9月1日に「SDGsステートメント」を発表した。持続可能な成長目標に対する重要事項として、「地球環境」「食糧生産」「サプライチェーン」「マーケティング」「生活者」「人財」という6項目を選定し、同社が考える社会のあるべき姿を示した。

SDGsステートメントには、「300年間紡いだ商いを、次世代に繋げていく。私たちは食を通じて世界の人々の幸せと笑顔を創造します」とある。もともと社是に「信用」を、企業理念には「継続する心・革新する力」を掲げる同社では、SDGsステートメントを企業理念を補完するものと位置づけ、経営の根幹にSDGsの考えを取り込んでいく考えだ。

産業界にもSDGsが浸透し、各社がそれぞれの取り組みを進める中、國分社長は他社の取り組み姿勢と異なる点として、自社の長い歴史に裏付けされている点を挙げる。そのひとつに、同社には創業期から「会社の決まり」を成文化した「帳目」がある。社是の「信用」を守り続けるための行動指針で、時代の変化に応じて変遷してきた。

「 歴代の帳目を読み解いてみると、そこには企業存続のために遵守すべきことが鮮明に記されており、帳目がそれぞれの時代における持続可能な成長目標そのものであることがわかります。今回のSDGsステートメントは、創業から受け継いできた帳目をSDGsというフレームワークに置き換え、現代的に解釈したものと捉えられます」まさに、企業理念の「継続」を体現しているといえる。

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