『新規事業のためのCVC活用の教科書』ほか注目の新刊

――執筆経緯と読者対象は何ですか。

2010年代後半、日本経済は好景気ながら、大手企業・中堅企業は内部留保を積み上げがちでした。内部留保は投資に回す方が企業価値向上につながり、また、恒常的に資金力の乏しいベンチャー企業とは、単なるアライアンスでなく、CVC投資を通じた関係性を作ることで、協業による新規事業を立ち上げやすい状況が生まれます。本書では、オープン・イノベーションによる新規事業に取り組もうとする方々向けに、CVCについてわかりやすく紹介しました。

――コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)は新規事業開発にどう有効でしょうか。

国内市場が縮小傾向にある日本で、企業にとって新規事業の必要性は言うまでもありません。CVCファンドとは、事業会社が新規事業を立ち上げや事業シナジーを得るためにベンチャー投資を行う仕組みです。本書は事業会社がベンチャーキャピタルと連携した二人組合(ににんくみあい)で新規事業をどう推進するかを解説しました。投資するファンドを持つことで、新規事業に有益な情報が集まるようになる他、アライアンスもしやすくなります。

――4月から施行の「オープン・イノベーション促進税制」にも照らし、日本市場への期待をお聞かせください。

本税制の施行は政府自体もCVCを推奨しているメッセージが端的に伝わり、歓迎すべき動きです。適用にあたり、制約があるため、実際に制度がどれほど活用されるかは不透明ですが、イノベーションが生み出されにくいと言われてきた日本の企業体質の下で、この税制をきっかけに、大企業からベンチャーへの投資が促進されることを強く望みます。大企業と中小ベンチャー企業の垂直的な産業構造やマインドセットが本税制を契機に改善されるよう期待します。

CVC投資のポイントは、投資後のフォローをしっかりすることですが、実際には投資先ベンチャーとの提携の推進は難しいものです。事業部を上手く巻き込んで進める必要があり、投資実行段階での提携のストーリーの構築、またCVCファンド設立の目的の明確化は重要です。投資先とのPoC(概念実証)を実行し、新規事業へとつながるように、投資先ベンチャーとの連携を推進していきましょう。

 

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