旅行部門オフィシャルパートナー対決! JCB vs. KNT-CT
東京オリンピック・パラリンピック旅行部門のオフィシャルパートナーは、これまでにない3社共存の契約となった。うち2社、JTBとKNT-CTの関連ツアーや、注目されるユニバーサルツーリズムの取り組みを俯瞰する。
ユニバーサルツーリズムの蓄積を東京大会に活かす2社
オリンピックのスポンサーシップは、1984年のロサンゼルス大会から1業種1社が原則になったが、このところは競合する、複数の企業がスポンサーとなることも珍しくなくなった。東京2020オリンピック・パラリンピックでも、「ワールドワイドオリンピックパートナー」の中にパナソニックとサムスン、「ゴールドパートナー」ではNECと富士通などが名を連ねる。
一方、「オフィシャルパートナー」の旅行部門は、JTB、KNT-CT、東武トップツアーズの3社共存という異例の形となった。大会組織委員会は、訪日外国人旅行者数の政府目標なども説明してIOCからの了承を取り付け、3社の協力と、いい意味での競合によって、東京に限らず国内各地に経済効果を波及させることを目指すとしている。
旅行部門オフィシャルパートナーは、2016年3月31日から2020年12月31日までの間、夏季、冬季など合計9のオリンピック大会で日本代表選手団や関係者の宿泊・移動、東京大会での世界のアスリートや関係者、観戦客受け入れを行う役割を担う。
契約3社のうち、JTBでは、「観戦+観光」という観点から、インバウンド客も含めて大会、大会前後の観光との流れを重視した施策を進める。昨年10月から今年の3月にかけては、「開催前の今だから見られる東京の景色」をバスガイド付きでめぐるバスツアーを実施しており、新国立競技場やお台場海浜公園、プレスセンターの入る東京ビッグサイトなどを観光できる。チケット付き観戦ツアーとしては、陸上など5競技を観戦する6泊7日ツアー(48万8,000円)、京王プラザのスイートルーム18泊19日連泊ツアー(450万円)などを用意した。
一方、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムなどを傘下に持つKNT-CTでは、9開催県の競技場を貸し切りバスなどでめぐる7泊8日ツアー(42万8,000円)、全33競技を制覇する16泊17日ツアー(180万円)など、ユニークな企画が目立つ。同社は、特に1997年からクラブツーリズムが積み上げてきたユニバーサルツーズムのノウハウを、観戦ツアー企画や、スポーツを通じた地域振興に貢献したいとしている。昨年12月には、パナソニック系のアトゥンと連携して、歩行を支援するパワーアシストスーツを使ったハイキング実験を実施するなど、同社のユニバーサルツーリズムは、このところ興味深い展開を見せている。
ユニバーサルツーリズムに関しては、もちろんJTBも、2013年に「JTBユニバーサルツーリズム」を本格化させるなど力を入れており、国内外を問わず、高齢者や赤ちゃん連れ客、さらには透析治療の必要な人向けに配慮されたサービスなどを充実させている。
世界中から様々な人々が集う東京大会では、旅行部門オフィシャルパートナー各社が、日本企業ならではの気配り・目配りを洗練させたサービスによって、「おもてなし」の最前線を担う重責を果たしてくれることに期待したい。
両社概要
JTB
設立 | 1963年 (1912年、ジャパン・ツーリスト・ビューローとして創立) |
---|---|
本社 | 東京都品川区 |
代表 | 高橋 広行(代表取締役 社長執行役員) |
資本金 | 23億400万円(払込)32億円(授権) |
従業員数 | 28, 510名(2019年3月) |
グループ事業 内容 |
旅行業、運輸機関の乗車船券類発売、 観光地の開発、健康保養施設の開発・運営、 図書の出版・販売、旅行情報提供 他 |
主なグループ 会社 |
JTBビジネストラベルソリューションズ JTBコミュニケーションデザイン JTBグランドツアー&サービス 朝日旅行 他 |
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