観光地のUXをデザイン 旅行の「ユーザー体験」を高める新手法

訪日外国人向けウェブメディアを運営しつつ、新規事業として体験価値の創出に力を注ぐMATCHA・青木優社長。そして、iPhoneアプリを中心に数々のUI/UXデザインで実績を残してきたTHE GUILD・深津貴之CEO。気鋭の2人が語る、観光を変えるアイデアと新手法とは――。

青木 優(MATCHA 代表取締役社長)

青木 iPhoneアプリを中心に数々のUX(ユーザー体験)デザインを手掛けている深津さんから見て、日本の観光地にはどういった課題がありますか。

深津 貴之(THE GUILD 代表取締役CEO)

深津 魅力的な観光資源を持っていながら、自分たちでその価値を毀損している地域、施設がたくさんあります。寺社仏閣に無造作にプラスチック看板やラミネート加工の張り紙、三角コーンを置いていたり、蛍光灯の明かりで雰囲気を台無しにしていたりなど、自分たちでその魅力を失わせている。

観光地を訪れる人たちの目的は、非日常を体験すること。異世界を体験できるようなお寺や仏像があるにもかかわらず、そこに世俗的なものが目立っていたら、興醒めしてしまいます。

その点、京都の清水寺は観光地として細部までつくり込まれています。例えば、注意書きを木の板に墨で書いていたり、電源ケーブルは手すりと同じような色で極力見えないように配線していたりなど、人工物を隠す努力をしています。

青木 清水寺は、写真に撮られることを意識して場がデザインされていますよね。

深津さんは日本でも有数のUXデザイナーですが、そもそも「UXデザイン」とは、どのように捉えるべきものと考えていますか。

深津 デザインと言うと、外見の話に終始しがちですが、それは最終的なアウトプットにすぎません。大切なのはその手前の段階、つまりモノやサービスに出会ったユーザーが何を思い、どう行動するのか、体験をデザインすることです。

UXデザインとは、見た目をキレイにしたり良くしたりするだけでなく、仕組みやルールなど、目に見えないものまでを含めたデザインです。

私たちがUXデザインと呼んでいるものは、観光分野では「モノからコトへ」と表現されています。しかし、「モノからコトへ」と言いながら、多くの観光地が、お寺があるから見る、名物料理をつくったから人が来る、といったモノのレベルで物事を考えています。

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