西陣織の細尾 「世界標準」でラグジュアリーマーケットに挑む

「伝統工芸」=「和」というイメージで世界に打って出るのはむしろ市場を狭めていると、株式会社細尾の細尾和孝氏は言う。西陣織が1200年の歴史で培った技術と素材、ストーリーを組み直し、世界のラグジュアリーマーケットで勝負を挑む。

クリスチャン・ディオールが世界に展開する90の旗艦店で細尾が開発、制作した西陣織のテキスタイル(生地)が壁面材、ソファの張り地に使われている。絹糸に、細く切った金、銀の箔を織り込んでつくられたもので、光沢がつくりだす文様が空間に落ち着いた上質感を添える。

株式会社細尾は、1688(元禄元)年創業の西陣織の老舗。帯の製造とともに、人間国宝が手がける着物など高級和装の問屋業も営む。そこで新規事業を担当するのが12代目の取締役、細尾真孝氏だ。テキスタイルとしての西陣織を世界のラグジュアリーマーケットに展開しようと力を注いでいる。

同社の海外への挑戦は、社長である父・真生氏が2006年パリの見本市に、西陣織を張ったソファを出品したのが始まる。「西陣織の売上は30年で10分の1に縮小しています。そこで世界の市場に可能性を求めたのです」2年目にはクッションを出品し、英国のリバティ、香港のレーンクロフォードからオーダーが入った。ただ発注量は限られたものだった。

細尾 真孝 株式会社細尾 取締役

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