憧れのストーリーをカタチに 大人世代の新しいライフスタイルを提案
今、多くの企業がリフォーム市場に注目し、競争が激化している。住まいに利便性や快適さだけでなく、「自分らしさ」が求められる時代の中で、パナソニックは「憧れ」や「こだわり」のニーズに応え、リフォーム事業の拡大を目指している。
新築市場が縮小していく一方で、6~7兆円規模の堅調な市場としてリフォームの分野が注目されている。ハウスメーカーや住宅設備メーカーだけでなく、電気量販店やアマゾンなどのIT企業も業界を越えて参入し始めているのだ。
パナソニックは昨年12月、 グループの住宅リフォーム会社、パナホーム リフォームに49%出資。今年4月、同社の社名をパナソニック リフォームに変更し、この市場に本気で挑もうとしている。
顧客の志向を先取りする
パナソニック リフォームを率いる山本浩介社長は、「これまでにパナホームで家を建てられた方に加え、今後はさらに新規のお客様の開拓にも力を注ぎます」と語る。
顧客拡大のカギを握るのが、「お客様の志向を先取りした空間提案」だ。もちろん、顧客の要望を聞いて、一からオーダーメイドしていくこともできる。しかし、それでは結果的に顧客に高い価格を提示することになってしまう。パナソニック リフォームは、同グループ内にある住宅研究所と顧客ニーズを分析、志向を先取りしたストーリー構築によって、コストをおさえながら満足感の高い空間提案ができるよう研究を重ねている。
「リフォームをするお客様は、理想の生き方、くらし方の憧れを持っています。当社はそうした憧れのストーリーに合わせ、空間を提案することができます」
例えば、「週末に仲間を呼んでみんなで楽しい時間を過ごしたい」という声に対して、リビングを囲む壁を「動く壁」にすることもできる。普段は部屋を仕切って、落ち着くプライベート空間。仲間が集まる時には陽光と会話が溢れる開放的な空間に早変わりだ。
一つひとつの商品にも憧れをカタチにする工夫がつまっている。例えばキッチンのドア一つでも100パターンのデザインを用意し、素材の質感・手触り感にまでこだわっている。さらに、換気扇のファンは10年間お掃除が不要など、洗練された素材・デザインと使い勝手・便利さを併せ持つ。
決め手は「人と人とのつながり」
パナソニック リフォームは、パナホームが長年培ってきた提案、設計、施工のノウハウ・技術とともに、パナソニックが持つ住宅設備、建材、空気質、映像、音響などの技術を融合。顧客の志向を先取りすることによって顧客の憧れをカタチにしていく。
パナソニックが、リフォーム事業で打ち出すコンセプトが「オトナの夢は、カタチにしよう。」。メインターゲットは、50~60代のシニア層だ。自分のライフスタイルにこだわりを持つ人たちへの訴求を強化し、販売面でも改革を進めている。
「現在、約400店あるパナソニックグループのリフォーム直営店、加盟店を、2018年度には約600店にまで拡大していきたいと考えています。併せて、顧客データベースやデジタルマーケティングの導入も進めていきます。しかし、事業の根幹となるのは、人と人とのつながり。お客様との信頼関係がいちばん大切ですから、人材の育成を進め、地域に密着した地道な営業にも力を注ぎます」
パナソニックは2018年度に住宅関連事業で1.6兆円の売上目標を掲げる。とりわけリフォーム事業は、その目標達成において重要な位置づけにある。顧客の憧れをまず可視化し、顧客とともにつくり上げるリフォーム。パナソニックは、顧客との新たな接点づくりをスタートさせていた。
Column
パナソニックセンター大阪
新たなビジネスに挑む旗艦拠点
パナソニックセンター大阪は、大阪・梅田に立地する商業施設「グランフロント大阪」のB1階~2階で展開される、パナソニックのショウルームだ。2013年4月にオープンし、年間約200万人の来場者が訪れている。
そのパナソニックセンター大阪が今年7月、1階~2階の全面リニューアルを行った。所長の山田昌子氏は、リニューアルのコンセプトについて、こう語る。
「従来は、商品の特徴や機能をアピールするなど、まずは商品ありきで、商品→空間→ストーリーというプロセスで見せ方を考えていきました。新しいパナソニックセンター大阪は、それを逆転させています。最初にお客様の生き方、くらし方のストーリーをつくり、そのストーリーにもとづいて空間をデザインし、商品を組み合わせています」
リニューアルにあたり、独自に顧客分析を行った。その結果をもとに、50代の夫婦が田舎に移住し、趣味の時間を大切にしながらカフェを経営する「夢の古民家ライフ」など、63のリライフストーリーをつくり上げ、そのうち13のストーリーを空間として具現化した。
パナソニックのリフォーム事業のメインターゲットは、50歳以上のシニア層。しかし、グランフロント大阪は20~40代の女性も数多く訪れる場所であり、そうした女性たちが共感できるストーリーづくりも行っている。一例として、「猫カフェin我が家」は、猫と心地よく同居できるくらしの提案だ。
「各空間がお客様にとって、自分なりのリライフストーリーを考えるきっかけになればと考えています。当センターには、幅広い専門性をもつ『くらし総合コンシェルジュ』がおり、お客様一人ひとりに寄り添うことで、その人の奥に眠る『憧れのストーリー』を現実的なものにしていきます」
リフォームには、多様な側面がある。物件や設備だけでなく、資金面や相続対策、親の介護、日常生活に不可欠な家電の選び方など、あらゆるサポートが求められる。パナソニックセンター大阪には、リフォームだけでなく、ファイナンシャルプランナーやシニアライフサポート、不動産、家電の専門家など、幅広いスキルを持つスタッフが揃う。それぞれの専門家が顧客カルテを共有し、ワンストップで対応し、顧客とつながり続けるのだ。
「当センターは、くらし総合コンシェルジュや顧客データベースなど、新しいビジネスモデルを検証するための旗艦拠点でもあります。今後、他の地域へ展開していくことも検討しています」
顧客の憧れをカタチにするために、新たな挑戦が始まっている。
お問い合わせ
- パナソニック リフォーム株式会社
- 〒560-8543大阪府豊中市新千里西町1-1-4
- URL:http://home-renovation.panasonic.com
- TEL:0120-8746-44
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