注目の「ヘルスケア」市場と農産品―機能性表示制度、地域での活用可能性

各地で生産される、個性豊かな農産品。希少性や栄養価、特有の風味など、消費者に向けて訴求できる価値はさまざまありますが、その一つとして、2015 年4月にスタートした「機能性表示制度」を活用した訴求が考えられます。

いま、ヘルスケアが熱い。「地域ヘルスケア産業振興」事業、「地域ヘルスケアビジネス創出支援人材(=アクセラレーター)育成」プログラムといったように、「地域」がキーワードの「ヘルスケア」ビジネスに国家予算が配分され、地方自治体や中小企業から注目が集まる(図1)。もはや、ヘルスケアビジネスは大都市の大企業だけのものではなくなった。主役は、地方の中小企業であったり、健康機能性を持った農産品を収穫する生産者であったり。まさに、すべての企業と自治体がヘルスケアビジネスをする時代となった。

そのシンボリックな事象が、機能性表示食品でビジネスしようという地域事業体の出現である。生鮮品を収穫する第一次産業、加工品を製造する第二次産業、サービスを提供する第三次産業、情報を構築する第四次産業が一緒になって、「協議会」ないし「コンソーシアム」という体制で機能性表示食品の開発をたくらむ。まさに大企業並みの一気通貫した「地域」×「ヘルスケア」のグループ経営が、日本各地で始まっている(図2)。

これまで「特産品」どまりであった農産品が、新たな価値を持つというビッグチャンスの到来である。2015年4月に消費者庁のもとで施行した機能性表示制度。制度開始後まもなくは、「トクホがあるのに、似たような制度つくったところで、企業も消費者も混乱するだけじゃないか」と揶揄されたが、そんな中、この制度に活路を見出したのが第一次産業従事者だった。

トクホと異なり、農産品や魚介類といった生鮮品にも健康機能性を表示できるとしたこの制度の施行は、まさに農家や漁業関係者の間で注目を浴びることとなった。機能性表示制度の農産品第一号となった静岡県浜松市の温州ミカン「三ケ日みかん(商品名)」は、温州ミカンの成分である「β-クリプトキサンチン」に骨の健康を保つ効果があるとの研究結果を消費者庁に提出し、“特産品”から“機能性表示食品”と肩書きを変えて、店頭に並ぶことになった。当然、JAみっかびは、流通業にも積極的なプロモーションをかける。

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巻頭レポート「地方創生とデジタルマーケティング(農産物篇)」

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一方でインターネットが浸透した今の時代、多様な商品が生存できる「ロングテール」型のビジネスモデルが広がりつつあります。
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そんな観点から特集を組みました。 全国を対象にした大ビジネスにはならなくとも、小さく成功するネット時代の農産物の生産・販売の可能性を考えます。

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