協調ロボ、インフラ点検... 成長市場へのアプローチ手法

国内ロボット市場の有望分野はどこにあるのか。コミュニケーション、協調ロボット、介護・福祉、インフラ点検と4つの分野を取り上げ、注目を集めるロボットの事業モデルを検証する。

会話を通じてAIが成長する

 

1.コミュニケーションロボット

ロボットブームの火付け役機能拡張は無限大?

最近のロボットブームの火付け役と言っても過言ではない、ソフトバンクロボティクスの「Pepper」。19万8000円という今までのロボット業界の常識では考えられない価格設定を含め、各種機能やビジネスモデルも話題を呼んでいる。

Pepperは感情認識機能が備わり、ユーザーと会話をしながら成長していく。人工知能(AI)はクラウド上にあり、すべてのPepperからデータを蓄積して会話精度を上げていく。

外部エンジニアが自由にアプリケーションを開発する、プラットフォーム型のビジネスモデルであることも特徴だ。9月の開発者イベントには約1000人が参加した。周辺機器の開発も今後進みそうだ。ユカイ工学が開発したPepper向けウェアラブルデバイス「マホウノツエ」は、ユーザーの声を認識して家電をコントロールしてくれる。

ソフトバンクロボティクス「Pepper」

ソフトバンクはPepper事業における最終目的をまだはっきりと示していない。ロボットの会話データをマーケティングに活用するのか、アプリストアで課金モデルを築くのか、B2B向けの販促ツール用途が主力になるのか。色々な憶測が飛び交っている。

販促用としては、ソフトバンクショップへの導入が進むほか、ネスレ日本がコーヒーマシンの販売用途に1000台を導入すると発表した。客との会話からコーヒーの好みなどを聞き出して、マシンをPRする仕組みだ。

ただ、販促用の導入には業界関係者から次のような声も聞こえる。「販促においてセールスマンの“キャラクター”がとても重要。PepperはAIがクラウドに乗っているので、均一化されたセールストークや回答しかできないのではないか。最初は目新しさで受け入れられるだろうが、本当に販促に役立ち、現場に根付くかは未知数だと思う」。こういった課題も、アプリ導入などで乗り越えることができるのかもしれない。

いずれにせよ、Pepperが全く新しい市場を切り拓こうとしているのは間違いない。その事業展開から、当分目が離せない。

 

2.協調ロボット

ものづくりの課題解決に

日本が世界シェアトップを誇り、豊富なノウハウ・技術を持つ産業用ロボット分野。ここで新しく成長しているのが、人と同じ製造ラインで働く「協調ロボット」の市場だ。

労働力人口の減少による作業負担の拡大、大量生産から少量多品種生産への移行といった、ものづくりの現場が抱える課題を解決するロボットとして期待されている。

市場拡大のポイントは「80W規制の緩和」。これまで最大出力80Wを越えるロボットは安全のために柵で囲う必要があった。これが2013年12月の規制緩和で、一定条件を満たせば80W以上でも人と協業できるようになった。これによって、大企業を中心に協調ロボットの導入検討が増えている。

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