ツイッター開発のチーム変遷 人間関係と企業家の出口意識

企業家が事業を起こすときには、共創する“人”が重要だ。ツイッターCEOを務めたエバン・ウィリアムズの経営の変化を例に、起業における人間関係、企業家としての出口意識について紹介する。

事業体は“我が子”である

企業家は人間である。たとえ「チーム」を信じ、誰かと一歩踏み出すとしても人の関係は移ろいやすい。事業を生み出す過程でチームがその経営成果に貢献する内容やタイミングも色々である。創業に参加する誰もが、一人一人個性を持つ。彼らの価値観、リスクや失敗の許容能力、仕事へのコミットメントレベルも多様である。

企業家の関係性を巡って、新しく誰かと事業をつくりだすことそのものが、家庭生活(親性)のメタファーを用いることが頻繁にある。たとえば共同創業者となるかもしれない誰かと出会うことは、結婚を期待するデート。彼らの関係が蜜月期間を迎え、情熱的にビジネスに取り組み、懐妊を経て苦労して設立した会社は、「我が子(マイベイビー)」と呼ばれたりすることも多い。

出典:Cardonet al.(2005)より筆者修正

ここで三位一体のような不思議で有機的な関係性が生まれている。二人組にせよ、三人組にせよ、企業家たちは、互いの個人的な関係を超えて、新しい事業体と自分たちという関係のなかに置かれる。新しい事業体を通して、投資家や(潜在的なものも含めて)顧客という広がりのあるネットワークで、未知の他者と結ばれていくことになる。企業家たちは、異なるスキルや資源、経験・責務や動機のあるパートナーとともに、緊張感が高まったりしながらも、協力関係を育み、事業体を成長させる。ただし、企業家のチームやネットワークは、この「我が子」である事業体との関係性の変化に従って、節目を迎え、否応なく変質を遂げていく(図1)。企業家たちは、チームとしてどのような関係を築くか、報酬の分配をするかといった初期の決断の帰結に向き合うよう、実は運命づけられている。

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