地域天然水 ブランド化のカギは

国産品、輸入品を含めると1000銘柄もあるといわれるミネラルウォーター。消費量が拡大する一方、価格競争の激化でメーカーの経営状況は厳しさを増している。今求められているのは、味やパッケージとは異なる切り口の差別化戦略だ。

国内外のミネラルウォーター。競争激化の中で、味やパッケージ以外の切り口で差別化が求められる

日本におけるミネラルウォーターの市場はほぼ右肩上がりで拡大を続けている。日本ミネラルウォーター協会によると、ミネラルウォーターの国内生産、輸入は2013年、どちらも過去最高に達し、10年前の04年の2倍以上。1人当たりの消費量も、04年の年間12.7リットルから13年には25.6リットルとほぼ倍増した。12年度の市場規模は2495億円で(矢野経済研究所の調べ)、昨年度にはさらに上昇したと予想される。

ミネラルウォーターの需要増加に合わせて、日本の自治体も活発に動いている。地域の水を利用した「○○の天然水」が多く売り出され、国内生産と輸入ものを合わせると、いま日本で売られている銘柄は数百から1000種類にも及ぶと言われている。

この乱立状態の中で、各メーカーがブランドを確立するにはどうしたら良いのだろうか。

堀内拓矢 グローバルウォーター 代表取締役社長

企業調査機関、外資系金融機関で勤務後の04年、水の総合商社グローバルウォーターを立ち上げ、現在、水の総合EC サイト「水広場」を運営するなど国内外の水に精通する同社代表取締役社長・堀内拓矢氏に話を聞いた。

まず近年の水市場について、堀内氏はこう分析する。

「08年のリーマンショック後、国産品に比べて価格の高い輸入品は売り上げが大幅に落ちました。その後の東日本大震災により飲料水全体の需要が底上げされ、特に宅配ウォーターサーバー市場の拡大が顕著です。国産品と輸入品の割合はおよそ8対2ぐらいで、安心安全に関しては国産信仰が強いのが日本の水市場の特徴です」

歯止めのない価格競争
差別化が難しい日本の天然水

しかし、消費量が拡大しているとはいえ、市場環境はとても良いとは言えない。堀内氏は、2011年の東日本大震災が水市場に大きな影響を残したと指摘する。

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