映画タイアップに参画

アメリカより帰国し、9年間花王の担当を務めた。その間、2つの映画プロジェクト「野性の証明」、「未完の対局」の製作に関わった。出演タレントの交渉にアメリカを訪れたり、日中合作映画では総書記と会見も経験した。

映画「野性の証明」のポスター

1975年、春がそこまで来ていると感じる時、私は2年半ぶりに日本に帰ってきた。主たる目的は博報堂にとって最重要得意先の一つである花王石鹸(現、花王)さんを担当するためである。

当時、我が社は二つの部で同社を担当していた。一つは商品担当部、いま一つはメディア担当部。当初、私は「ニベア花王」さんの担当で商品担当部に属したが、足掛け9年の同社担当の間、メディア部でも仕事をすることになる。

この9年の間、もちろんほとんどは花王関連の仕事に従事したが、その間に今でも忘れられない二つの映画プロジェクトがあった。

ピーター・フォンダに
映画出演交渉 アメリカへ

今ではちょっとした映画製作には資本の段階からいくつかの会社がタイアップすることが当たり前になっているが、1970年代にはそのような形式は意外に少なく、タイアップといえば商品あるいはサービスがそのまま映画の画面に登場する「プロダクト・プレイスメント」という手法が主力であった。

森村誠一さんの小説に「証明三部作」というのがある。その中でまず「人間の証明」が角川春樹さんの手で映画化され、大変な評判となった。

次に映画化が決まったのが「野性の証明」。自衛隊のレンジャー部隊の話で主演が高倉健さん。薬師丸ひろ子さんのデビュー作でもあった。この映画について角川書店さんと博報堂がタイアップすることになり、私もプロジェクトの一メンバーとして作業に加わったが、大変な役目を仰せつかる。

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