印刷会社がものづくり拠点に

3D印刷の出現を、従来型の2次元印刷会社はどう見ているか。日本印刷技術協会(JAGAT)の藤井建人シニアリサーチャーは、印刷会社が地域のものづくり拠点になる未来を描く。

2次元印刷との近似性ノウハウは応用できる

日本印刷技術協会(JAGAT)研究調査部 藤井建人シニアリサーチャー

3Dプリンターの「出現」を、多くの印刷会社が興味深く見つめている。どれほどの造形需要があるのか、3Dプリンターの性能や価格はどうか――。収益性をシビアに調べ、ビジネスとしての参入可能性を見極めようとしているのが、現在の印刷会社が置かれた段階だろう。

3Dプリントと従来型印刷は、立体と平面という違いはあれ、ある意味で非常に似ている。印刷の本質は、ただデータを出力することではなく、お客様の要望を汲んで形にすることにある。同じ印刷機を使っても、印刷オペレーターが変われば完成する印刷物の品質は微妙に異なる。なぜならオペレーターの技術や感性、こだわりが印刷過程に介在するからだ。だからこそ印刷物は「グラフィックアーツ」と言われる。

3Dプリントにも同じことが言えるはずだ。同じ3Dデータとプリンターを使っても、オペレーター次第で造形成果は異なるだろうし、そこに付加価値やビジネスチャンスがあると言える。

例えばフィギュアを造形する場合、色彩や衣装の質感をきれいに出すために機械を微調整したり、不完全な提出データを補正したりといった作業が必要だろう。

このほかにも、設備への依存が大きい装置産業である点、基本的に受注生産である点など、3Dプリントとの類似点は多い。印刷ビジネスで培ったノウハウを応用できる部分は多いと思われる。

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