常識を覆す新市場創造

3Dプリンターはあくまでも工作機械の一種にすぎない。ならば他の加工技術との組み合わせに、どんな可能性があるのか。重要な技術テーマに挑戦する中小企業を訪ねた。

由紀精密・大坪正人社長

「3Dプリンターをうまく活用すれば、従来の機械設計の常識をくつがえす、今までにないものづくりが実現できるはずです」。由紀精密(神奈川県茅ヶ崎市)の大坪正人社長はそう強調する。同社は従業員約20人の中小企業だが、精密切削加工の高い技術力を強みに、世界的な航空宇宙関連メーカーや医療機器メーカーと取引をしている。「研究開発型町工場」を自認する同社は、3Dプリンターと切削加工技術を融合する新しいプロジェクトに挑戦している。

大坪氏と3Dプリンターの関係は15年近くに及ぶ。東京大学工学部時代にFDM(熱溶解積層法)と出会い、機能性樹脂の造形研究に没頭。大学院卒業後は、当時日本一の光造形機導入数を誇ったインクス(現ソライズ)に入社し、光造形法による携帯電話の試作や、全自動の金型製造システムの開発に携わった。その後は家業の由紀精密に入り、日本のものづくりの中核技術である機械加工に取り組んできた。

近年の3Dプリンターブームに対し、製造業からは「現場で使えるレベルではない」と冷ややかな声も多く聞かれる。しかし大坪氏は「ブームはとても前向きに受け止めています」という。「認知が広まったことに重要な意味があります。現在はFDMが注目されていますが、光造形や金属積層にも企業の目が向きはじめている。工作機械としての3Dプリンターの強みと弱みが正しく伝われば、日本のものづくりは次のステージに登ることができるはずです」。

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