データデモクラシー
新国立競技場のデザインの決定―デモクラシーとは何なのか、美しさや快適さはデータとして表現できるのか、そしてデータを通して合理的な意思決定ができるのか、考えてみるチャンスである。
デザインコンペ
新国立競技場のデザインをめぐっての熱い論争が続いている。オリンピックという国家レベルの大事業への期待と東京という大都市の環境にかかわるさまざまな意見、利害関係が、交錯し、専門家による異議申し立てもあり、今後の議論の進展と最終的な結論の出し方が注目される。


新国立競技場のデザイン
©Zaha Hadid Architects
方眼ではなく渦巻き状のダイナミックな東京という都市空間に描画された流動的でダイナミックな最優秀賞のデザインは幾何学的に調和して美しい。しかしながら近所に生活する都民の一人としては、“逝きし日の面影”さえ掻き消されてしまうような想いにかられる。
いずれにしても人々が新しい環境のデザインにコミットするプロセスを、佐伯胖氏による名著『「きめ方」の論理 ―社会的決定理論への招待―』を思い出しながら、利害関係、立場、生き方の違う人々が全体としてどのようにふるまうのかをつぶさに観察してみたい。デモクラシーとは何なのか、美しさや快適さはデータとして表現できるのか、そしてデータを通して合理的な意思決定ができるのか、しっかりと観察し、考えてみるチャンスである。
多数決で決める代表的な制度は選挙である。米国では以前から大統領選挙をネット選挙にしようという運動がある。選挙管理委員会の投票結果の集計が出る前にメディアは出口調査のデータをもとに当選確実を報道する。行き先の不透明な社会では意思決定の速さと行動が優先される。
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