なぜフィンランドが注目されるのか

国際標準学力テストPISA(ピザ)は「これから何ができるか」を測ろうとするテスト。フィンランドはPISA2000で読解力の高さで一躍有名になった。子どもたちの意欲を引き出し、生涯学習社会への移行も成し遂げるフィンランドの取り組みに世界から注目が集まる。

OECDの国際学力調査PISAは、義務教育を終える段階にある15歳の若者が、「これから何ができるか」をはかろうとする画期的なテストである。これから何をとは、生涯学習社会に出て学び続けられるかを問うていることにもなる。決して、学歴を手に入れて、勉強はそれでおしまいというわけではない。

といっても、国や地域の子どもたちの学びの特徴を調べる調査であって、個人の能力を測るようには設計されていない。ちなみに、PISA2009には、日本では185学科の高校1年生6077人が6~7月に受けている。飛び級や落第のあるアメリカでは、受験生の0.1%が中学2年生、10.9%が中3、68.5%が高1、20.3%が高2、0.1%が高3となっている。

フィンランドが一躍有名になったPISA2000では、表1のように得点が出ている。この得点は、平均が500に調整された、全体と比較された統計上の点数であって、満点という発想ではない。

さて、読解力といわれる「言語と情報を使う力」は、必要な情報を読み取れるか(必要だけど問題文には書かれていないという判断も必要)、読み取ったものを理解できるか、理解したものを評価し結論を出せるかという3つの観点で分析された。2009年からは、出した結論を基に「これと取り組む」という言語表現と交流活動が評価されるようになっている。つまり、知識を覚えたか、名前や年号を覚えているだけでは点数にはならない。何がわかったか、わかったことを使えるか、これを調べようというのである。中にはオープンエンドの設問もあって、何を書いてもよく、論理性や説得力を評価しようとするものもある。

表1を見ると、フィンランドは、未知の情報を探してきたり自分と異なる意見を解釈するのがうまいということがわかる。これに比べ、日本は、情報を探したり、それを解釈することは下手であるが、「省察」の点数が高い。

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