「壁の向こう側」の景色を求めて
欧州において、日本人だけではなくアジア人が成功を掴んだ例はほとんどないのが、チームの最後の砦であるゴールキーパーというポジションだ。しかし、川島永嗣は単身乗り込んだベルギーで逆境を乗り越え、着実に存在感を高めている。自ら退路を断ち、挑戦を続ける先駆者の矜持とは―
川島永嗣の前に敷かれた線路は真っすぐに延びていた。J2の大宮アルディージャで正位置を獲得し、名古屋グランパスでは名GK楢崎正剛とポジション争いをすることで日本のトップを知り、川崎フロンターレでは日本の一流プレイヤーの仲間入りを果たした。
心の中ではいつかヨーロッパでやりたいという思いを抱いていた。しかし、Jリーグで着実に実績を積み重ねていても、川島はこの線路の向こうの先にヨーロッパがあるのかどうか不安だった。
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