イノベーションを顧客基点で創出する
最先端のテクノロジーや天才的なアイディアだけがイノベーションを生み出すのではない。顧客への深い理解もまた、新しい商品や事業分野を創造することができる。
フィリップ・コトラーは「マーケティングの基本となる最も重要な概念は人間のニーズである」と言う。そのニーズを可視化するのがマーケティング・リサーチの役割だ。しかしイノベーションにつながるようなニーズはアンケート結果には表れないし、そもそも消費者自身も気付いていない。インサイトは優れたマーケターやリサーチャーによって創出されるべきものだ。
P&G日本法人社長を長く勤め、現在はアジア地域を統括する桐山一憲氏は「コンシューマ・インサイト」を、⑴データでは見えてこない真実、⑵こころの奥深くに存在する感情やニーズ、⑶ビジネスを成長させる可能性を秘めているもの、と定義する。香りを強調した柔軟剤「レノア」や、消臭ではなく空気を洗うというコンセプトでブランド拡張に成功した「ファブリーズ」は、そのセオリー通り消費者の潜在的なニーズを商品として結実させて大ヒットした。
仮説発見型のリサーチ手法とは
「こういう商品が欲しかった」「こんなサービスは想像もしなかった」と言わせるようなニーズを創出するためには、ビジネスの文脈から消費者の生活がありのままに切り取られ、マーケターにインスピレーションを喚起するようなしくみが必要だ。以下の3つの方法はその代表的なものだ。
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