「今は地盤を固める時期だと思っています」
サンフレッチェ広島▶本谷祐一社長インタビュー
07年12月、J2に降格したサンフレッチェ広島を前任者から引き継いだ本谷祐一社長は、就任から5年目にして、チームを優勝争いに導いた。かつて経営危機に陥ったザスパ草津も建て直した再生請負人が見るアジア戦略とは?
―5年半にわたってチームを指揮したミハイロ・ペトロヴィッチ(現・浦和レッズ監督)との契約更新を断念して森保一を新監督に招聘しました。昨年末は様々な喧騒が起こりましたが、蓋を開けて見れば今季は初のリーグ優勝へ向かって邁進しています。
ちょうど今から一年前にペトロヴィッチと契約しないと言った時には随分なご批判も、ご心配もいただいたのは事実ですが、クラブとしては昨年までのサッカーを更に進化させて組織的な攻撃サッカーは崩さないというコンセプトの下で新監督を選びました。そういう面で今年のサッカーの内容は思惑通りです。
―競技面の成功と並行して、20億円を超える累積損失解消のため資本金を99%取り崩す減資と約2億円の増資を実施しました。今回の経営改革の方針は?
昨年は経営面の問題がクローズアップされましたが、選手の人件費は下げていません。私が社長になってからは、とにかく無駄な経費は使わず、なおかつフロントスタッフでできることは自分たちでやり、そこで生まれたお金は選手の強化費に充てようという考え方でやっています。クラブの中でのフロントのあり方は何なのか。それはあらゆる面でいかに選手のサポートをできるか。選手がプレーしやすいようにしよう、様々な準備を自分たちの手でやることによって選手に喜んでもらおう、入場者数を増やすことによって増えた収入は強化費に回そう、という考え方です。チームの方針も、フロントの方針も新しく何か変えたことはないし、変える必要もないと思っています。
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