三和シヤッター工業 「指一本」で対応 業界初の防水シャッター

地下街や地下鉄、そして地下に重要設備を抱えるビルにとって、甚大な被害をもたらすのは、水害時の地下への浸水だ。同社の防水シャッターは「スピード、防水性、容易さ」でそれに対抗する。

三和シヤッター工業は、業界初となる水深2mまで対応できる防水シャッターを開発。ダブルタイトドアとともに「ウォーターガード」シリーズとして2014年10月より販売を開始する。

1956年創業で、シャッターやスチールドアの総合建材メーカーである三和シヤッター工業だが、水害対策を前面に打ち出した製品を出すのは今回が初めてだ。

防水性能は、一般財団法人建材試験センターの性能評価試験を受け、浸水面積あたり1時間換算で何ℓの漏水量があるかで評価した。一般的な防水商品の性能値20ℓ/h・㎡に対し、同社の防水シャッターは1.7ℓで10分の1以下。ダブルタイトドアの片開きは0.2ℓ、両開きは7.5ℓと非常に高い防水性能が証明されている。(図1参照)

開発の背景には、ゲリラ豪雨や河川の氾濫など近年頻繁に発生する都市型水害の存在があった。地下鉄や地下街が多く存在する大都市では、地上が冠水すると一気に水が地下に流れ込み、甚大な被害をもたらす。また、一般の建物でも、地下に電機室や機械室、データサーバ室といった重要設備を抱えたものは多く、BCPの観点からも防水の必要性は極めて高い。地下出入口や地下設備をいかに水から守るかは喫緊の課題だった。

大震災の被害を免れた設備

開発の直接的なきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災だ。宮城県の仙台塩釜港は、7m強の津波で甚大な被害を受ける。しかし、その環境下で港に隣接した公共施設では、機械室の床から60㎝の位置にあった設備は被害を免れていた。

その原因は、機械室に鋼製扉が設置され、扉からの漏水量が他の部屋と比較して非常に少なかったことにある。商品開発部部長の安藤洋志氏は経緯を次のように説明する。

「お客様から、その機械室に設置されていた扉と同性能の扉を開発するように要望があったのです。その部屋の床面積と水位から扉の漏水量を逆算しダブルタイトドアの性能の目標値としました。また一方で、別の公共施設からは防水板の開発要請があり、それが防水シャッターへとつながりました」

安藤 洋志 三和シヤッター工業 商品開発部部長

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