生涯学習、なぜ北欧で可能なのか

大学新入生のうち25歳以上の割合は国際平均で20%。日本の約10倍である。北欧の失業手当は次の職に備え、新たな資格を身につける学校に入るサポートをする。国の競争力を高める人材を育成する、北欧の生涯学習から学ぶ。

デンマークの幼稚園では屋外活動を重視する。読書も屋外で行う

IT競争力ランキング 北欧が上位

サッチャーが首相として登場する前に、すでに「イギリス病」が非難の的になっていた。日本では一般に、福祉があるとその国の人間は努力をしなくなり産業が衰退すると解釈された。ところが、北欧の福祉国家はイノベーションと転職の時代をうまく乗り切っている。

世界経済フォーラムが2013年4月に発表した「IT競争力ランキング」では、フィンランドが1位で、以下、シンガポール、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、スイス、英国、デンマーク、米国、台湾、韓国と続き、日本は21位であった。北欧諸国は、小国ながら常にイノベーションの上位にある。

1950年代には、スウェーデンの労働組合は発想転換を行い、経済構造の変化に対しては整理解雇を認め、経済成長に反対しなかった。北欧の福祉国家は、1980年代に始まるネオリベラリズム(新自由主義)を拒否しなかった。国家は古い産業を保護せず、新しい産業に転換することで国際競争力を付けようとした。労働組合はきわめて強く、しかも「合理化反対」などと古い職を守ることよりも、教育によって一人ひとりに労働能力をしっかりと育成すること、さらに成人の再教育を要求した。これは、1996年、EUの生涯学習社会の構想に結実する。

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