ベンチャーは借入より増資?

ベンチャー企業は、借入でなく増資で資金を調達することが多い。そこには、担保が不足しているからといった事情だけでなく、根源的な理由がある。それを理解するためのキーワードが、「フリーキャッシュフロー」と「運転資本」だ。

借入か増資か

前回はベンチャー企業の特徴である「急成長」が資金不足を招くカラクリについて説明した。資金が不足すれば、その手当が必要となる。ということで、今回は、資金をいかに手に入れるかという資金調達について考えていきたい。

ベンチャー企業が資金調達を行う場合、大きく分けると金融機関からの借入か増資ということになる。両者の違いは下記の表にまとめた通りであるが、ベンチャー企業にとって、どの方法による資金調達が良いのであろうか。

業績とリスクの関係

このことを考えるために、資金提供者が抱える「リスク」に焦点を当ててみよう。

図1の左端に示した貸借対照表のような割合で、借入と株主資本を有する会社があるとする。調達した資本を元手に仕事をした結果、「良い経営」を行えば元手は増えて資産は増加する。一方「悪い経営」しかできなかったら貴重な元手は減少してしまう。

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