急成長期の「資金不足」を解消

「成長を志向する」ことと「成長を管理する」ことは、明らかに異なる。ベンチャーは、必要となる運転資本の額をあらかじめ知るだけでなく、資金的余裕を生み出すために、運転資本の構造そのものを改革する必要がある。

急成長を「管理」する

「あの会社は成長しているね」などという場合、何を指しているのだろうか。

従業員の数が最近増えてきたというのも、成長を表す指標かも知れない。しかし、一般的には売上が増加基調にあることを指して成長と表現するであろう。

ベンチャー企業が順調に売上を伸ばしていく過程において、急な「成長」を「管理」することが重要となる。この課題に適切に対応できない企業は経営危機を招き、市場からの退出を余儀なくされることになる。

では、成長を管理するとはどういうことだろう。

「成長を管理する」ことは「成長を志向する」ことと、明らかに異なる。

成長を志向していないベンチャー企業はおそらく皆無であろうが、成長を管理できていない企業は意外と多いのである。

成長の管理とは、実際の成長に対応した企業の状態を、望ましい姿・あるべき姿につくり上げていくことである。そのために、売上の増加にともなって必要となる資金を適正に管理することが求められる。

売上の伸びと運転資本

売上が増えれば売上高が増加する。当たり前のことである。それにともなって利益も増加するであろう。しかしこのことは、現金つまりキャッシュが増加することには、必ずしも繋がらない。

現金取引ではなく、掛け売り・掛け買いといった企業間信用での取引が行われていれば、売上高の増加は売上債権の増加、つまり回収できていないおカネの増加をもたらす。

資金の支払いと回収の時間的なズレから資金不足が生じるとき、こうした状況下で経営活動を円滑に行うための資金が必要になる。この資金を運転資本(あるいは運転資金)という。

成長を管理するとは、この運転資本を管理することであり、運転資本の不足を招かないようにすることである。

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