食べると健康になる「夢の食品」

世界で初めて、梅エキスの由来成分がインフルエンザ予防に効果があることを発見。また、青柿に悪玉コレステロール減少効果があることも判明した。すでに日本でも、機能性食品の本格的な商品化が始まっている。

中野BCは、青柿に悪玉コレステロール減少効果を発見。独自製法で粉末を開発した

中野BCは、和歌山県海南市に本社を置き、創業は1932年。長く日本酒の蔵元として名を馳せたが、現在は、地元名産「紀州南高梅」を使った梅酒の製造販売を事業の柱にしつつ、梅エキスなどの機能性食品、日本酒、焼酎、みりんの製造販売を行う。

社名のBCは、バイオケミカル・クリエーションの略であり、高い研究開発能力をベースに、和歌山県ならではの農産物を生かして、今までになかったような独創的な製品を創出しようという強い思いが込められている。

資本金は8000万円、年間売上約33億円、従業員はパートを入れて約210人。

現社長で2代目の中野幸生氏(73)は、日本経団連・和歌山県経営者協会・会長を歴任するなど地元の経済振興のために東奔西走の日々を送っており、現場の指揮の大半は副社長で長男の中野幸治氏(37)が執っている。

絶えざる革新で地域振興

中野さんは、法政大学大学院修士課程(機械工学専攻)を卒業後、宝酒造勤務、中小企業大学校を経て、2005年に中野BCに入社した。

しかし、すでに、同社の主力事業の日本酒市場は衰退の一途をたどっており、同業者の廃業・転業が加速度的に進展していた。彼は、その要因を、紙パック商品に代表される機械制大量生産による低価格競争にあると看破した。中野BCでも機械制生産をしている。

「本物志向の顧客ニーズに即応した酒造りに転換しないと危ない」 彼は、伝統の手仕込みを復活させ、国内外で高い評価を獲得することに成功。同社の日本酒部門は活況を呈した。

「そうは言っても、日本酒だけに依存していては危ない」 同社では、1979年から地元の紀州南高梅を使った梅酒の製造販売を行っていたが、健康ブームを背景に「はちみつ梅酒」「緑茶梅酒」などのカクテル梅酒の人気が高まってきていた。

「今後は梅酒事業に軸足を移すべきだ。そして顧客は若い女性だ」 温州みかんをはじめ、地元・和歌山県が誇る各種柑橘類などを使った「カクテル梅酒」の分野で、彼は25種に及ぶ商品ラインナップを構築し、5年間で売上を25倍へと急伸させる大成功を収めた。

しかし、中野さんは思った。

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