儲かる農業をつくる「ソーラーシェアリング」の威力

「投資対象」と見られがちな太陽光発電だが、工夫次第では農家の収益性を高め、地域活性化を促進できる。その手段として注目を集めるのがソーラーシェアリングだ。群馬県では、耕作放棄地を活用し、農業と発電事業の両立を図る取り組みが始まった。

箕郷町矢原発電所(出力597kW)。下部でフキを栽培している

太陽光を農作物と発電で「シェア」

農家に高齢化の波が押し寄せ、日本中で耕作放棄地が広がっている。その面積は日本の全農地の1割にも達し、琵琶湖の面積に等しいといわれる。

そうした中で、群馬県を拠点に農産物の生産、加工・流通、直売を手掛けるファームドゥが農業と発電事業を両立させるソーラーシェアリングの事業化(ソーラーファーム)に本格的に取り組んでいる。ソーラーシェアリングとは、農地の上に架台とパネルを取り付け、太陽光を農作物生産と発電で「シェア」する仕組み。同社は首都圏をターゲットに農産物の独自流通システムを構築し、農産物直売所を展開しているが、栽培した農産物をこの直売チャネルで販売する計画だ。

群馬県は日照時間が全国4位と長く、地価も割安とあって、いまや太陽光発電所のメッカの一つ。ファームドゥも3年前から太陽光発電事業(PV)に参入した。きっかけとなったのは、福島第一原発の事故だった。風評被害から首都圏に出店する農産物直売所「地産マルシェ」の売り上げが3分の2に落ち込み、その状態が2年半続いた。

ファームドゥの岩井雅之社長は「電気のありがたみが身に染みるとともに、原発に依存することの危うさも実感しました」と振り返る。岩井社長は耕作放棄地を活用した発電事業で、自治体の税収面や農家の地代収入など、地域全体が経済的に潤う仕組みが作れないかと考えた。

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