世界に広がる「BONSAI」 大宮盆栽が模索する伝統の新しい魅せ方

「BONSAI」として世界中にファンを広げる一方、国内での存在感が小さくなる盆栽。トップブランドである「大宮盆栽」は、地域ぐるみでブランドを再構築し、若い世代や女性をも引き付ける日本のカルチャーとして世界に発信している。

世界の愛好家が「盆栽の聖地」として憧れるのが、さいたま市の大宮盆栽村だ。関東大震災で被災した盆栽業者が、栽培に適した良質の土や美しい水、澄んだ空気に恵まれた移住先を探し、大宮にたどりついたことが開村のきっかけとなった。その後、太平洋戦争中は、栽培に手間のかかる盆栽が贅沢品とみなされたことや盆栽師がこぞって徴兵されたことなどが重なり、大宮盆栽は存亡の危機に立たされるが、戦後になると視察に訪れたGHQの兵士やその夫人たちが「平和の芸術」と評して盆栽を購入するなど状況は好転。やがて、東京オリンピックや大阪万博でも展示されるに至り、70年代以降は海外からの弟子入り志願者や愛好家が増えるなど、大宮盆栽は日本を代表する文化として着実に根付いていった。

「ところが現状はというと、最盛期だった昭和30年頃には30軒ほどあった盆栽園も、いまや5、6軒を残すのみ。高級住宅地化したことが仇となり、相続税の負担や土地の高さから、後継者世代が集まらなくなっています。それでも盆栽自体は高値で売れていたせいか危機感は薄く、大宮盆栽をブランドとして生かしていこうという気運も高まりませんでした」と、大宮盆栽村にて幼い頃から大宮盆栽に親しんだ生活を送ってきた、さいたま観光国際協会の大和田氏は語る。

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