キーワードは「安定感」 幅広い年代をまとめるキャプテンの力
氷上の格闘技とも呼ばれる、アイスホッケー。プロテクターに身を包み、足立友里恵は戦場に立つ。所属チームを率いるキャプテンとして、また日本代表選手として、チームを支え、安定感のあるプレイヤーでありたいと彼女は言う。
文・小島 沙穂 Playce
スケートシューズが氷を削り、氷のかけらが宙を舞う。アイスホッケーは、ゴールの裏側にまで回り込んで攻防が繰り広げられる。選手が弾くパックの速さは時速160kmに達すると言われ、スピードと迫力が魅力の氷上の格闘技とも呼ばれるスポーツだ。
足立友里恵は、2015年現在30歳。小学2年生の時に兄の影響で始めたアイスホッケーだが、今では日本代表の選手としても、所属チームの中でもベテランに当たる位置にいる。2014年ソチオリンピックに28歳で初出場。残念ながら、その時には結果を出すことができなかった。しかし、次期2018年の平昌オリンピックに向け、新たな課題の見える大会であった。
「所属チームで日本一を目指すこと」「日本代表としてオリンピックで結果を出すこと」というふたつの目標を主軸にして、彼女は今日も氷上に立つ。
プレイヤーとして、ひとりの人間として、自分を磨く
足立がキャプテンを務めるSEIBUプリンセスラビッツは、27名(2015年11月時点)が所属する女子アイスホッケーチーム。都内のスケートリンクを中心に活動している。彼女たちの氷上練習は、夜21時以降に始まることも少なくない。チームメンバーの多くは会社員や学生で、普段の生活の後で練習がスタートする。プリンスホテルの支援と選手たちの部費で施設使用料をまかなっている現状、スケートリンクを貸切にできる時間は短く、限られた時間で密度の濃い練習を行う必要がある。
「私はシュートが苦手なので、今は練習開始前のアップ時間に5分間だけ集中して練習したりしています」
短時間でも集中して技術を磨くことで、必ず結果につながるだろう。それは、足立が自分自身に言い聞かせている言葉でもある。
「また、監督にはいつも『プレーだけでなく、生活面でも日本一を目指すチームになるために、それにふさわしいことをしよう』と言われています」
技術的な部分や一生懸命試合に立ち向かう想いはもちろん、選手以外の部分、つまり昼間働いている時や学校に通う時など、氷の上にいる以外の時間の自分を磨くことも大切だ。例えば、足立は今「料理がうまくなりたい」と言う。アスリートに適した栄養バランスや効率のいい摂取法を学べば、より優れた肉体をつくることができるだろう。また、おいしい食事そのものが日々のモチベーションアップにつながる。自分を高める行動が彼女たちの輝きとなり、自信や強さにつながっていくのだ。
高校生から30代まで、経験量やレベルに差のある選手をまとめる
現在、プリンセスラビッツの所属選手は、経験の浅い高校生の選手が多い。幅広い年齢層がいる中で、チームの意識をぶれずに浸透させることはなかなか難しいものがある。
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