ナウシカの飛行機「メーヴェ」を再現 物語で描かれた未来を現実に

『風の谷のナウシカ』に出てくる架空の飛行装置「メーヴェ」をモデルにした、一人乗り航空機「M-02J」を開発したメディア・アーティスト、八谷和彦氏。見る人をワクワクさせる数々のプロダクトは、どのように生み出されているのか。

一人乗り航空機「M-02J」のテスト飛行。2014年には、20~30mの高度で飛べるレベルにまで完成度を高めている 撮影:柳井俊之

メールソフト「ポストペット」の開発者として知られる八谷和彦氏。八谷氏はメディア・アーティストであり、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する空中に浮くスケートボードを再現した「エアボード」や、映画『風の谷のナウシカ』に出てくる飛行装置「メーヴェ」をモデルにした小型飛行機「M-02J」など、数々の驚異的なプロダクトを生み出している。

テクノロジーの動向から発想

エアボードもM-02Jも、大ヒット映画に出てきた未来のプロダクトをモチーフにしている。

「SFや物語には、理想の未来像が描かれているので、それが実現したら多くの人がびっくりするものができるだろうという思いはあります。それに、作品のコンセプトを語るときに、『メーヴェの実機』、『ホバーボードの実物』と一言で説明できる。一言で説明できることは、たくさんの人に興味を持ってもらううえで大切です」

飛行機の開発は、2003年にプロジェクトがスタートし、10年をかけて実際に人を乗せて飛ぶところまで到達した。アーティストとして、多くの人が憧れる夢をカタチにする。そこには、ロマンだけでなく、実現に向けた冷静な計算もある。

「たとえば飛行機の場合、エアボードの制作時(97年~01年)から小型ジェットエンジンを扱っていたので、その後の数年でジェットエンジンの性能がどれくらい高まり、価格が低下するかもある程度予測できていました」

実際にものづくりをすることで、技術の最新動向や使いこなし方もわかる。そして近い将来、何ができるのかを予測する。そこから、イメージが広がっていくのだ。

八谷氏は「アイデアは、たいして重要ではない」と語る。『ナウシカ』を見て、メーヴェに乗ってみたいと思い浮かべるのは難しくない。しかし、誰も実現することはできなかった。

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