「わ・る・な・らハイサワー」躍進続ける理由

コモディティ市場で、スモールカンパニーがどう振る舞うか―その点で答えを出した企業の一つが博水社だ。経営においては、どんなに環境が変化したとしても決して変えてはいけない「不変」と、環境変化に即応して変えてゆくべき「革新」と―博水社の経営に迫る。

博水社・3代目社長の田中秀子さん。専門外のことには手を出さない、という一貫した経営姿勢を持っている

自社が所属する業界が成熟化し、衰退過程に入ったと考えられる時、どうやって生き残りを図るか? 革命的な新商品を開発して業界を新しいライフサイクル曲線に乗せようとする企業もあるだろう。その一方、基幹能力としてのメタ・コンピタンスを活用して、まったく別業種の事業を立ち上げ、事業構造転換を図る企業もあるだろう。

しかし、そこまでのイノベーションを行い得るだけの経営資源をもたないスモールカンパニーの場合は、どうしたらよいのか?

その問いに対する一つの明確な解答を示してくれる企業がある。「わ・る・な・らハイサワー」でお馴染みの割り材メーカー博水社だ。3代目社長の田中秀子さん(53)にお話を伺った。

時代の流れを読んでヒットを飛ばし続ける

酒類市場に参入し、アルコール入りの「ハイサワー缶レモンチューハイ」を発売。新規顧客層の拡大に成功

博水社は、焼酎甲類・日本酒・ウィスキー・ワイン・泡盛・ジンなど各種のお酒を割って、より美味しく飲んでもらうための「割り材」のメーカーであり、「ハイサワー」の名を冠した一連の商品群で広く知られる。「お客さ~ん、終電ですよー!」というテレビCMも長年親しまれた。一昨年10月には、累計販売総数が15億本を突破。

創業は1928年で、会社組織化は1952年。現在の年商は12億2300万円。従業員数は18人だ。スモールカンパニーゆえ、製造はジャパンフーズに業務委託している。

田中さんは、女性経営者に時として見られる「女の武器」を使うタイプでもなければ、女を捨てて男のようにふるまうタイプでもない。あくまでも自然体で、しかも、困っている人がいれば損得勘定抜きで面倒を見る心優しき人。保健所に引き取られ殺処分を待つ犬・猫の里親探しの活動でも知られる。

そのせいであろうか、業界内外には彼女を慕う人が多く、テレビ朝日の「タモリ倶楽部」をはじめ、多くのメディアにも引っ張りだこの存在である。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り80%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。