オープンデータの使い方

G8サミットで2015年までに本格的なオープンデータを公開することが決定した。イギリス、アメリカではオープンデータ活用からのビジネス化、人材育成が進む。海外の成功事例から次なる活用法を紹介する。

オープンデータ公開 2015年まで

2013年6月、英国ロック・アーンで開催されたG8サミットにおいて首脳コミュニケが発表され、オープンデータ憲章について合意したことなどが明記された。遅くとも2015年末までにオープンデータ憲章及びその技術的な別添を実施することとされている。

オープンデータ憲章の内容は次の通り。

  • 原則としてデータを公開
  • 高品質なデータをタイムリーに提供
  • できるだけ多くのデータを、できるだけ多様でオープンな形式で公開
  • ガバナンス改善のためにデータや基準、プロセスに関する透明性を確保

データ公開によって次世代イノベーターを育成 このコミュニケにはTechnicalannexという技術的な別添が付いていて、その中でG8各国が公開すべき「価値の高いデータ」が右の表の通り明記されている。

国際社会経済研究所の東富彦氏は、世界のオープンデータをめぐる最新の動きについて研究し、OpenKnowledge Foundation JAPANに所属している。「イギリスでは政府がオープンデータに積極的に取り組んでいて、キャメロン政権時代の2010年にdata.gov.ukにおいて積極的に公的データを公開しています。日本政府は『できるところから公開する』あるいは『経済界からのニーズがあるものから公開する』という方針ですが、イギリス政府は日本とは全く異なる方針でデータ公開の優先度付けをしていました。当時キャメロン首相は自ら書簡を出し、各省庁に対して具体的なデータを指定し、期限を設けて公開するよう指示を出していました」

G8の「価値の高いデータ」は、イギリス政府が挙げた多くの項目に重なっている。一方、日本政府が発表した「電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ」において、公開を優先するとした重点分野は「白書、防災・減災情報、地理空間情報、人の移動に関する情報、予算・決算・調達情報」である。G8で合意したデータカテゴリと比べると、「法人、犯罪と司法、地球観測、教育、エネルギーと環境、世界的な開発、健康、科学と研究、社会的流動性と福祉、輸送と社会基盤」などが含まれていない。

イギリスをはじめEU諸国やアメリカはオープンデータに対する意識が高く、国民の関心の高いデータから優先的に公開している。2015年の公開に向けて、今日本も動き出す時期がきている。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り78%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。