リスニングツールと公開情報を活用する

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かつて企業が顧客や市場のことを知ろうと思えば、手間も時間もコストもかかった。商品やブランドが消費者にどのように評価されているかを知るためには、訪問面接や郵送のアンケートを実施するしかない。統計データや情報を集めるのもひと苦労で、若いリサーチャーにとって図書館や官公庁出版物センター通いは日課であった。

しかし今ではすっかり様変わりだ。クラウドサービスやネット広告によってスタートアップのハードルが下がったように、マーケティングリサーチや情報収集に関しても過去とは比べ物にならないほど恵まれた環境にある。適切な手法を知っていれば、アイディアを得たり仮説を検証することもできるようになっている。

デスクトップで市場と顧客を知る

無料か低コストで情報収集できるサービスの中から、検索やツイートなどのリスニングツール、公開されているパブリックデータ、そして次世代型のオンラインリサーチを紹介しよう。

(1)リスニング・ツール

検索は生活者の関心を可視化したものであり、Google検索に関する統計データは誰でも使うことができる。「Google Insights for Search」※1に調べたいキーワードを入れれば、時系列の推移、同時に検索されている言葉、地域別の統計などがわかる。もちろん世界中の言語と国をカバーする。

例えば、全世界を対象にsony、samsung、panasonic、sharpについて検索ボリューム(出現率)の推移を見れば、グローバル市場における日本のエレクトロニクスメーカーの没落とサムソンの急速な発展が手に取るようにわかる(図参照)。毎年12月に跳ね上がるのはクリスマス商戦の時期にブランドや商品検索をする人が増えるからだ。関心だけではなく購買にも結びつくデータはブランドパワーそのものだ。他にも流行観測やキャンペーン効果測定など地域別分析も可能で、流行観測やキャンペーン効果測定などに幅広く活用されている。

Yahoo!JAPANのリアルタイム検索※2は、Twitterから提供される全ツイートデータの過去1ヶ月分が検索できる。30日、7日間、24時間のキーワード出現件数のトレンドがグラフ化されるほか、任意に期間指定してツイートの抽出も可能。少し前のニュース、イベント、テレビ番組の反応や、注目度の高い商品やブランドの消費者の反応を知るのに最適だ。

このように検索データやソーシャルメディアを消費者行動や関心の把握に利用することを「リスニング(傾聴)」という。高機能の有料ツールも提供されており、マーケティングリサーチ手法として活用が進んでいる。

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