世界を幸せに変えるデザイン

社会的な停滞感を吹き飛ばすような、新しいビジネスが、国内外で次々と生まれている。今の時代のニーズに沿った、サービスの提供者にも、受け手にも大きな幸福感がのこるようなビジネスはいかにして生み出すのだろうか。

ものづくりをしても、中々、数が売れない時代になってきています。ここから抜け出す例として、まず、フェラーリのブランド戦略を考えてみましょう。

「需要より1台少なく作る」フェラーリのブランド戦略

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フェラーリはF40、F50と限定生産車を定期的に販売していました。通常、車の開発期には情報をクローズし、発売が近づくとリリースします。ところがフェラーリは、売る前からストーリーを作る。フェラーリ・エンツォを生産する際のことです。限定生産で、価格は7500万円位になることがわかっていました。社内には、少し高いのではないか、という人もいる。そこで、世界中のフェラーリのディーラーに、買いたい人間がいるか調査させました。調査で400人の希望者が明らかになります。フェラーリの社訓は「需要より1台少なく作れ」ですので、399台で生産をやめることを発表しました。すると、400人をはるかに超える3000名以上が購入希望を申し出てきたのです。しかし、フェラーリは、販売台数は変えず、過去のフェラーリへの忠誠度、名声、所得・資産から購入者を選別し、399名を選んで売り渡しました。

ここでのポイントは、優良な顧客リストが得られ、リスクがゼロであること、購入者にとってみれば限定生産者を所有することで社会的ステータスが得られることです。所得や資産がある方が最後に欲しいものは名声であることがフェラーリは良く分かっているのですね。

メーカーも購入者もハッピーです。こうしたブランド戦略を成立させる背面に、フェラーリが限定生産販売で初期投資を回収しうる北イタリア工業地帯の職人技術を持っていることも、重要な点です。

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