Fab.com、来年日本参入へ

「Fabの成長スピードが速いのは、自分たちが速く成長しようとしかけているからではなく、プロダクト(商品)そのものがいいからだと思っている。素晴らしいプロダクトを、素晴らしいユーザー・エクスペリエンスと共に提供すると、人びとは口コミで広めてくれる。これがfabのストーリーだ」――。アマゾン、ザッポスに続く、急成長中のeコマース企業がFab.comだ。デザイン性を重視した独自のスタイル、モバイル重視の戦略で、世界中にファンを増やしている。創業者・CEOのジェイソン・ゴールドバーグ氏に、Fab.comの成功戦略と今後の展開を聞いた。

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最も成長の速いeコマース 日本にも来年参入

──ローンチしてから今日まで、Fabのサービスは驚異的な伸びを見せている。売上高の伸びはどこまで?

Fabは世界で最も成長の速いeコマース企業として知られている。

2011年6月に創業してから2年と立っていないけれど、2億5千万ドルを売上げた。昨年は1億1500万ドルだったので、倍以上の成長だ。売上の35%はヨーロッパからで、その他は北米市場から。現在はその他の地域への参入を考えているんだ。昨年は200万人だった登録ユーザーも、今では1300万人になった。

──日本でのサービス展開については何か考えている?

日本には来年の早い時期に参入することを考えている。日本でも重要な存在でありたいので参入戦略は慎重に練っているが、素早く展開したいと思っている。

──Fabの成功を遡ると、ローンチの前提とし、10万人のメール会員を最低条件にしていたね。いきなりそこまでに到達するのは、とても難しいけれど。

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(上)共同創業者兼最高デザイン責任者のブラッドフォード・シェルハマー
(下)WOW !と言えるワクワク体験を提供することがFabの哲学だ。その意図はロゴにも込められている

サービス開始前の2011年3月に、ウェブに「Fabは日常のデザインのためのスペースをこの春にリリースします」という告知ページを設定したんだ。そのページには、デザインの権威であるブラバー・トムの写真のローテーションを掲示してね。彼がどのようにプロダクトを使って生活しているかというのを、カラフルでモダンな、統一した小売価格を表示したプロダクトの写真と共に見せた。これを見た人たちは興奮し、ツイッターなどのSNSを使って気にいった写真をシェアしていった。勿論サイトはシェアしやすいようにデザインしてつくっておいた。

──競合はいなかった?

当時、オンラインで「デザイン・ライフスタイル」を示しているところは他になかったんだ。ブラバー・トムだけではなく、他のデザイナーのところも訪れ、デザイナーが一番気にいっているプロダクトと一緒に写真を撮って、それを見せて行った。Fabで一体どんなプロダクトがリリースされるのか、という世間のワクワク感がどんどん高まっていったんだ。

2011年6月9日にサービスを開始する時には、登録メンバーは17万5千人になっていた。サービス初日の売上は6万5千ドル。サービス開始から18日で100万ドルに到達したよ。

──それでも、eコマース市場は激戦区だけれど。

eコマースには3種類あるんだ。

一つ目は日用品(コモディティ・コマース)。アマゾンや日本の楽天がこれにあたる。欲しいものを簡単に買える。

二つ目はデジタル・コンテンツ。音楽など。

そして三つ目がエモーショナル・コマース(感情に訴えかけるコマース)だ。これは洋服、家具、ランプなど、購入する際に検討され、ある種の感情が伴うものを扱う。

自分たちはこのエモーショナル・コマースのマーケットリーダーになろうとしたんだ。

──アマゾンとの差別化について、もう少し掘り下げると?

アマゾンは、自分が欲しいものが明確な時にベストな場所だ。Fabは、何かが欲しい、けれども具体的には何が欲しいかはっきりわかっていないという人たちを対象としている。だから、製品のユニークさが重要なんだ。Fabの扱う商品の99%はアマゾンでは売っていないもの。自分たちの戦略のコアは、他のどこでも買えないユニークなプロダクト、万人受けするものではなく、カラフルで、テイストがいいブランド、そして買い物の楽しさを常に提供し続けること。近代的で、ユニークで、カラフルな商品を求めている人たちが見に来る場所、というブランド認知が大切だ。

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Fabの成功はモバイルマーケットの確保によるところが大きく、売上の実に35%をモバイル経由が占めている

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