仕組み化で持続成長を実現 GLC GROUP株式会社が描く、プライム上場への道筋

投資用新築一棟賃貸マンションにおいて用地仕入、販売、設計、建築、賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、エネルギー供給までをワンストップで担う「不動産SPAモデル」を確立するGLC GROUP株式会社。熊本発の同社は、福岡、沖縄、東京へと事業領域を広げ、さらなる成長ステージとして東証プライム上場、時価総額1000億円を明確な目標に掲げる。起業を見据えた構想、競合優位を生む事業モデル、徹底した仕組み化による組織運営──。同社代表取締役社長グループCEO 髙村 隼人氏に起業に至る思考の軌跡と、次代を見据えた成長構想を聞いた。

 

建設会社での約3年間が事業基盤を構築

髙村氏の起業への道のりは、28歳で独立する約3年前から始まっていた。建設会社での営業経験を積みながら、将来の事業構想を練っていたのである。

「独立して成功するかどうかは、圧倒的技術があるか、何かしらノウハウがあるか、圧倒的ファンがいるかで決まります。自分は技術やノウハウというより、信頼関係を重視し、ファンとなってくれる方を多くつくることを考えました」と髙村氏は振り返る。この約3年間で築いた考え方こそが、後に事業の根幹となった。

事業領域の選択も戦略的だった。初期投資が少なく、在庫を抱えず、ストック収入が見込める賃貸マンション管理業に特化する方針を固めた。加えて「好きでないものは良いサービスができない」という信念から、関心を寄せていた不動産業への参入を決意した。創業時の社名「水前寺不動産」も、地域に根ざした信頼できる企業イメージを打ち出した。こうした綿密な準備が功を奏し、創業後は資金繰りに困ることはなかったという。「創業期は困るというよりも楽しかった。」と当時を懐かしむ。

一気通貫モデルで競合との差別化を実現

同社の強みは、土地取得から建築、管理まで一気通貫で対応できる体制にある。この仕組みが生まれた背景には、市場の構造的課題への着目があった。

「不動産会社は建築に関する知識が少ない。逆に、建設会社は入居率や適性家賃等、不動産に関する知識が少ない。そのミックスができれば強いのではないか」。髙村氏はこの仮説を立て、建設機能を内製化した。現在、施工管理者数も増強し、自社開発物件の建築を担う。将来的には他社からの受注も視野に入れており、「建設の人材不足は社会課題。我々がゼネコン機能を強化することで解決に貢献できる」と社会性も意識した展開を描く。

展開エリアは熊本から福岡、沖縄、東京へと段階的に拡大。特に沖縄進出では、多くの企業が持つ「参入の難しさ」を競争優位に転換した。「参入を躊躇するから競合が少ない。先入観が自然な参入障壁となっている」と分析し、順調な立ち上げを実現している。

東京進出は既存事業の基盤が固まったタイミングで実行。「賃貸マンション100棟開発という目標を考えると、九州だけでは難しい。東京は外せない市場だ」と戦略的必然性を説く。

属人性から標準化への組織構想

組織運営で最も重視するのが「業務の標準化」である。組織を効率的にマネジメントするため、あらゆる業務を仕組み化している。

「人事も含め、全て仕組みで解決します。エラーが起きるのは仕組みの改善余地があるから。システム設計の精度を高めることが経営者の責任です」と髙村氏は語る。この仕組み化の根底にあるのは、「人が悩まない方がいい。悩むと時間的なロスが大きくなる」という効率重視の考え方だ。

人材育成についても合理的な考え方を貫く。「役割が人を作ります。課長ができたから次は部長、部長ができたから執行役員」。ただし、すべての人材が上位職責を全うできるわけではないという現実も受け入れている。各段階での適性を見極め、成果に基づく昇進・降格がある一方で、降格した人材にも再チャレンジの機会を提供し、元のポジションで結果を出せば再度上位への挑戦を可能とする柔軟性も併せ持つ。

権限委譲も徹底しており、土地仕入の判断基準や販売利回りの設定まで全てシステム化。「効率的な組織運営のため、明確なルールを設定し、その範囲内で現場が迅速に判断できる体制を構築しました」と組織設計への考え方を語る。

2026年1月にはホールディングス制に移行した。背景には今後の成長戦略がある。「会社をグループとして大きくしていく時により管理しやすい体制にする必要がありました。」と組織再編の狙いを説明する髙村氏。事業会社で子会社を10社抱えるような状況は管理上困難と判断し、ホールディングス制により各事業会社のPL・BSを明確に分離して管理できる体制を構築した。この組織変更により、M&Aなどによる事業拡大をより機動的に実行できる基盤が整った。

時価総額1000億円への成長構想

中期的な目標として東証プライム上場を掲げる髙村氏。「20代で起業して30代で上場、40代でプライム上場を目指している。時価総額1000億円は実現したい」と明確な数値目標を設定している。

成長戦略の柱は既存事業の地域拡大と新規事業展開である。特に東京での開発事業拡大に注力し、建設機能の更なる強化を図る。新規事業としてはホテル開発を本格的に計画。「賃貸マンションだけでは成長率に限界がある。専門店から総合商社のような展開を目指し、ホテル事業も年間数棟ずつ進めていく予定です」と事業多角化への取り組みを語る。M&Aも積極的に活用する方針で、「規模を大きくしないと1000億円はいかない」と成長への強い意欲を示す。

起業家へのアドバイスとして、髙村氏は継続的な努力の重要性を強調する。「量をやっていけばどこかでコツをつかめる。コツを早くつかめる人がセンスのある人なので、量は必要だと思います」。特に若い起業家については、「20代で起業する人と40代で起業する人を比較すると、体力的にも時間的にも20代の方が有利です。同じ能力であれば、より多くの経験を積んだ方が成功します」と説く。

目標の明確化についても独自の見解を示す。「目的地を伝えないと、どう応援していいかわかりません。目的地と現在地のギャップが明確になれば、周囲も協力しやすくなる」。髙村氏自身も時価総額1000億円、東証プライム上場という具体的な数値目標を掲げている。

創業前約3年間の準備期間から現在まで、一貫した戦略実行がGLC GROUP株式会社の成長を支えている。徹底した仕組み化と明確な目標設定により、同社は時価総額1000億円、東証プライム上場という次のステージを見据えている。