落合陽一氏 社会はグリッド型へ、キャッシュポイントが変わる

COVID-19により急激な"予定変更"を迫られている日本社会。"新たな常識"が構築されつつあるなかで、社会やビジネスはどう変化していくべきか。ウィズコロナの世界観と事業構想について、落合陽一氏はアナログとデジタル、クラスタとグリッドという視点を挙げる。

コロナで進むスマートシティ化

――COVID-19の感染拡大が全世界に影響を与えるなか、経済や社会の基盤である国や地域の姿をどう見ていますか。

落合 スマートシティ化が進むと思っています。私は「ディストピアの設計論」だと思っているのですが、どこまで個人の権利を侵害し、かつどれだけ集団の利益を守るか。位置情報を追跡する、国境をまたぐ人の感染状況を追跡するというのはどういうことなのか、といったことを真剣に議論する時期がしばらく続くと思います。

落合 陽一 (メディアアーティスト、筑波大学 准教授)

そのうえでスマートシティのシナリオを考えたとき、自動運転や顔認証、行政手続きに個人データが紐付く便利な社会...というよりも、健康状態や体調を監視され、問題があれば管理・隔離される...といった、使われる技術は同じでもディストピア的なロジックが通りつつあります。個人に紐づくデータの管理が国、もしくは民間、どちらに寄せられるか。各コミュニティ、各地域で考えないといけない状態になっています。公衆衛生の対応のために、民間が国へデータを提供するということもあるでしょう。むしろ、その名目でデータ収集が進むこともあると思います。

スマートシティについては、インド政府が2014年に発表した定義が非常にわかりやすいです。「スマートシティは教育スキル・所得レベルに関係なく居住者の幅広いセクションに経済活動と雇用機会の面で持続可能性を提供する」、これが今まさに求められていることで、そのためのデータ提供・利用のためのプラットフォームの必要性が各国に生じていると思います。

――社会や経済の状況が変わるなかで、ビジネスの面で注目している分野はありますか。

落合 今非常に増えているのは、配信ですよね。ライブイベントの配信やオンラインでのコーチング・ティーチングなど、リアルが厳しくなったからこそオンライン移行の余地はたくさんあると思います。

コンテンツ配信、特に動画配信、それから意外なところではテレビ画面で見るコンテンツは黄金時代なのかもしれません。YouTubeは大画面で観るには画像クオリティが高いものが少ないこと、またスタジオが使えないため映画やアニメなどの大規模コンテンツの制作が止まっているという問題はあるものの、ユーザーの需要自体は伸びているのではないでしょうか。

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