2020年へ、寺社フェス「向源」の信念 僧侶が語る五輪への戦略

多くの若者が来場する寺社フェス「向源」。お寺でのライブ、坐禅や念仏修行、精進料理など、さまざまな日本の伝統文化を体験できるイベントだ。オリンピックの時期にも寺社フェスを開催するべく、現在、準備が進む。「向源」は、世界に何を発信しようとしているのか。

友光 雅臣(常行寺 副住職 / 寺社フェス「向源」 代表)

2020年のオリンピック期間中、都内のお寺で数々のイベントを同時多発的に仕掛ける――。こうした準備を進めているのが、寺社フェス「向源」の代表であり、東京・品川にある常行寺副住職の友光雅臣氏だ。

お寺と若者との接点をつくる

日本には約7万5000もの寺社があり、その数は約5万5000店のコンビニ店舗数を上回る。立地の差はあれど、数だけを見ればコンビニよりも身近な存在だ。しかし、日常的に寺社に足を踏み入れる人は少ない。特に若年層にとっては、近くて遠い場所になっている。

友光氏は、こうした状況に危機感を抱いていた。友光氏は2008年、25歳で仏門に入った。もともと常行寺の跡取りだったわけではなく、大学時代はDJをしていて、仏教どころか宗教自体に大きな関心もなかった。それがたまたま個人的な縁がつながり、僧侶になった。

そうした中で、友光氏は、年配の人ばかりが訪れるお寺の状況に違和感を抱いていた。

「仏教は『生き方』を説くものです。でも、20代の僕が、人生の先輩に生き方を説いても響かないでしょう。お寺では高齢の方にしか出会えないなら、自分からアクションを起こして、若い人との接点をつくろうと思ったんです」

寺社フェス「向源」では、宗派や宗教を超えて、神道や仏教などを含めた体験型ワークショップ、音楽ライブやトークイベントなどが行われる

フェスを実現、仲間を増やす

実際に動き始めたのは、2011年3月に起きた東日本大震災の後だった。友光氏は東京にいたが、震災をきっかけに暗く沈む街の様子を見て、「みんな不安なんだ」と感じていた。そして、「それぞれが、自分のために落ち着ける場所をつくりたい」と思うようになった。

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