起業家として「地方で生きる」 移住を成功させる「キャリア戦略」

NPO法人ファザーリング・ジャパンの事務局長として、国への政策提言など、イクメンの推進に大きな役割を果たした徳倉康之氏。2015年、地元・高松へUターンし、自身の会社を立ち上げた。その背景には、起業家としての戦略、父としての思いがある。

2015年3月、地元である香川県高松市にUターンした徳倉氏。周辺には自然が広がり、快適な環境の中で、充実した日々を送っている

――徳倉さんは、かつて勤めていた日用雑貨メーカーで、長男の誕生を機に8ヵ月の育児休業を取得。その後、NPO法人ファザーリング・ジャパンの事務局長となり、イクメン推進の活動などに携わってきました。「働き方」について考え始めたきっかけは、何だったのですか。

徳倉 日用雑貨メーカーに入社して数年は、徹夜で働いたり、土日も出勤したりなど、バリバリに働いていました。その結果、25歳のときに過労が原因で倒れて入院し、復帰までに1年かかりました。

普通なら、長期で休養すると、キャリア的には不利になると考えます。でも、私は逆転の発想で、その経験を活かすにはどうすれば良いのかを考えました。

もう一つのきっかけは、2009年に長男が生まれことです。8ヵ月の育児休業を取ったところ、妻以外の理解は得られませんでした。当時はイクメンという言葉も浸透していなかった時代。おそらく、日本で働く男性で育児休業を取る人は1.5%程度でした。

私自身、営業成績は良かったのですが、営業で日本の上位1%にいくのは簡単ではない。でも、育児休業を取得すれば、日本で1%の存在になれる。

「営業力」という強みに、「育休の経験」を掛け合わせれば、独自の強みになる。そう考えて、「父親であることを楽しむ」ことを理念に掲げたNPO法人、ファザーリング・ジャパンへの転職を決意したんです。

徳倉 康之(ファミーリエ 代表取締役社長)

――戦略的に、自身のキャリアを積み上げてきたのですね。

徳倉 当時のNPO業界は、リーダーは営業ができても、ナンバー2、ナンバー3で営業ができる人材に乏しかったんです。ここでなら自分の強みが活かせると考え、NPO業界に移りました。

ファザーリング・ジャパンでは、事務局長として、これまでに無いほど楽しく忙しい日々を送りました。人員が少ない中で、講演活動のほか、営業や広報、組織運営、行政協働案件、企業協働案件など、多岐にわたる仕事をこなしました。

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